杜甫の詩

人として生まれて 大切な人に会えなくなるということは

ややもすると オリオンとアンタレスのようだ。

だが今宵は なんとすばらしい夜だろう、

君とこのともしびの光を共にしているのだから。

青春はいつまでつづくといえようか、

髪の毛は 君も私も もう白髪まじり。

旧友たちのことを聞けば 半分は死んだという。

驚きの声をあげて 私は腸の中まで熱くなる。

思いもしなかった 二十年もたって

もう一度 君の家に上がることができようとは。

(中略)

明日の朝 君と別れて 山をへだててしまえば、

人の世のいとなみは 二人の前に あてどなくひろがるのだ


安藤信広先生の訳
(元の詩は)


衛八処士に贈る

人生不相見
ジンセイアイミザルコト
動如参与商
ヤヤモスルト サントショウノゴトシ
今夕復何夕
コンセキハ マタナントイウ ユウベゾ
共此燈燭光
コノ トウショクノヒカリヲ トモニストハ
少壮能幾時
ショウソウ ヨク イクトキゾ
鬢髪各己蒼
ビンパツ オノオノスデニ ソウタリ
訪旧半為鬼
キュウヲトエバ ナカバ キトナル
驚呼熱中腸
キョウコシテ チュウチョウネッス
 知二十戴
イズクンゾシラン ニジュッサイ
重上君子堂
カサネテ キミノドウニ ノボラントハ
(中略)
明日隔山岳
ミョウニチ 山岳ヲ隔テナバ
世事両茫茫
セジフタリナガラボウボウタラン

( 杜甫が仕事の出張先で旧友に会った時の歌 )

(中略の訳詩は )

昔最後にわかれたとき君はまだ結婚していなかった
今 子どもたちがいきなり列を作って入ってきた。
父の友の私をうやまい、
私にむかって問いかける「どちらからおいでですか」と。
その問答の終わらぬうちに、
子どもたちは酒と飲みものをテーブルに並べはじめる。
君は夜の雨に濡れながら春の韮をきってきてくれた
たきたての飯には 上等の黄色いあわさえ混じっている。
君は言う「会うことは難しいものだ」と
そして一度に十杯もの酒を飲みほす。
十杯の酒でも私は酔うことができない。
君のかわらぬ友情に心うごかされて。










杜甫の詩「曲水」風光に伝言す
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lastModified: 2011年  first updated 2005年6月3日