byM_猫頭's アドヴェント20121218

どこかで小さな声がした。
幼い子供の声だったかもしれない。シャガールの驢馬の声だったかもしれない。
空はどこから始まるのだろう? その声が問うように言った。
空はすぐ足もとから始まる。芝が答えた。すると樫がいった。 空は木々の枝ゝの先からはじまる。ギョギョシと啼きながら、オオヨシキリも言った。空は潟のうえにはじまると。
空は朝の光にはじまると朝は言い、空は中天にはじまると昼は言い、星々の生まれるところから空ははじまると、夜は言った。 風の吹くところから空ははじまる、と風は言った。
雲流れるところに空ははじまる、と雲は言う。空は無にはじまると、物思う人は言う。空は白紙にはじまる。筆もつ人は言った。空は山を描いてはじまる。絵筆を持つ人は言った。
自分の頭の上だよ、ハシブトガラスは囁いた。空は自分の頭の上からはじまるんだ。
虹だ。ふいに雨上がりの空から、声が降ってきた。
秘密を初めて打ち明ける幼い子どもの声のような、シャガールの驢馬の声のような、その声が言った。空ははじまるんだよ。空に虹の木が見えるところから。
虹の木があらわれると、みな立ちどまって、黙って、空を見上げた。その時初めて空を発見したみたいに。  

長田 弘「虹の木」


長田 弘さんの『詩と木の下で』(39編)の最後の詩を、読みました。
   つい、全文書きぬいてしまいました…


(C)マルク・シャガールMarc Chagall ポンピドー・センター所蔵
「虹」(1967年) 160×170.5cm
「赤」の作品、というか、虹が白いとはなんということでしょう。

(でもよく見ると木の辺りに色がついています)
「虹の木」というのはこれで、ということで、作品引用・・・・
■フランスの美術館・博物館情報サイト http://www.museesdefrance.org/
■感想のあるブログhttp://blog.goo.ne.jp/aohie/

■シャガールと聖書Musee National Message Biblique Marc Chagall
南仏ニースのシャガール美術館旅行記byはるるさん


南ドイツのゲンゲンバッハの市庁舎は「 世界最大のアドベントカレンダー」ですが、今年は青の唐草模様に彩られていますね。
「This year the theme is a “Best of” calendar of the last 15 years. Pictures from world famous artists such as Marc Chagall, Tomi Ungerer, Otmar Alt, or children’s book characters Jim Button and The Robber Hotzenplotz can be seen. 」

クリスマスまであと6日

2012年12月18日(火)

LastModified: 2012年

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