Eve イブ(エバ)

人類最初の女

イブ 【Eve】〔ヘブライ語で「生命」の意から〕旧約聖書創世記における人類最初の女性。アダムの妻。蛇にそそのかされて夫とともに禁断の木の実を食べたために,エデンの園を追放された。エバ。(https://www.weblio.jp)

「アダムとイブ(エバ)」について、今さらこのペアについて言うことはない!? かのような気がするが、そうでもない・ ・
まず、キリスト教では、イブが、「人類最初の女」というが、 ギリシア神話では、人類最初の女は、「パンドラ」であったという。(後述)また、一説によれば、アダムにはリリトという先妻がいたりもするのであった。(これが楽園の蛇であるともいう)
それはさておき、 初めて見た時驚いたほど魅力的なオータンのイブと 、ヒエロニムス・ボスなどのイブといる女頭蛇身(★)の楽園の蛇を見よう。

ところで、イブと表記すべきか、エヴァとすべきかということだが、(英語読みの)「イブ」に慣れ親しんできたので、ついイブが先になる。
Wikipedia
 では新共同訳聖書の表記にしたがって「エバ」とするいう。
私も「モーゼ」の方は「モーセ」に直していますが、どうでしょうか。
https://blog.goo.ne.jp/numano_2004/

なおまた、動物に名前を付けたのは、アダムであるが、「イブ(エバ)」と名付けたのも、アダムであるという・・うむ!?

オータンの魅力的なイブ

オータンのサン・ラザール大聖堂近くのロラン美術館収蔵「イヴの誘惑」(聖堂の北扉口タンパン下にあったもの)

岩波美術館 テーマ館 第2室の 「ひとのかたち」の解説 (前川 誠郎)()によれば、 「≪エヴァ≫ の横臥という姿勢が背徳のイメージでもあった。」という。

7.<エヴァ>ギスレベルトゥス(12世紀前半)

1125-1135年頃制作、高さ72㎝、長さ132㎝

オータン、ロラン美術館

エヴァを中心にして左にアダム、そして右にサタンがつながる横長の構図
聖堂の楣石の彫刻
北玄関は1766年に大幅な模様替えが行われ、エヴァは、1856年になってある家屋の取り壊し作業中に廃材として埋まっていのが見つかった。(前川 誠郎)

18世紀後半からの100年の間に、アダムと蛇はみつからなくなった様だ。


Photo byM 20190614 見に行きました。(気持ちとしては「会いに行きました」に近い)


楽園の蛇

[女頭蛇身]の楽園の蛇であるが、draconopidesとして描いた作者不詳の絵を紹介しているサイトがあった。

蛇身の女

ドラコノビト

http://karlshuker.blogspot.com/

The Original Sin' that feature the Eden serpent as a draconopides, but whose respective artists are currently unknown to me.

この用語は今は、置いておき、

楽園の蛇が女(女頭蛇身)であることを・・
http://thecatholictalks.com  このページには他にミレニアム以前の聖書の挿絵として、イブと女頭蛇身の5図が紹介されている。

15世紀(ヒエロニムス・ボス)

Hieronymus Bosch Weltuntergang links low


原罪のイブ

Bosch Last Judgement Detail

Hieronymus Bosch 018

ヒエロニムス・ボスといえば「快楽の園」であるが、それはこちらで読みました。bosch/garden.html

「快楽の園」の蛇の絵は上にあるが、女頭蛇身というようなものではなかった。

以下 楽園の蛇身の女集成を。

14世紀(?)

Temptation Adam Eva
Adam, Eve, and the (female) serpent
at the entrance to Notre Dame Cathedral in Paris.

15世紀

Paolo uccello, creazione di eva e peccato originale

Paolo Uccello 014
Artist Paolo Uccello (1397–1475) Basilica of Santa Maria Novella

頭だけで手がない

Hugo van der Goes - The Fall of Man and The Lamentation - Google Art Project

'The Temptation' - Hugo van der Goes, 1470
フーゴー・ファン・デル・グース (1440 - 1482)

足もありトカゲ風

0 Adam et Eve - Fresque de Raphaël - Stanza della Signatura (2)
painting by Raphael
ラファエロ フレスコ画 ヴァティカン美術館
Adam and Eve, ceiling fresco from the Stanza della Segnatura.
Raphael (1483–1520)  Date between 1509 and 1511
Medium fresco  Height: 120 cm; Width: 105 cm
Collection Apostolic Palace

 署名の間の天井画 Raphael_Rooms#Stanza_della_Segnatura

*高解像の図→http://thecatholictalks.com/
このページには他にミレニアム以前の聖書の挿絵として、イブと女頭蛇身の5図が紹介されている。

*ヴァチカンの中の紹介
http://little-puku.travel.coocan.jp/
回廊はエルミタージュに複製されているという

16世紀

Workshop of Giovanni della Robbia - Adam and Eve - Walters 27219 - Front Installation
Artist Workshop of Giovanni della Robbia (1469–1529)
Walters Art Museum 1515 (Renaissance)
Medium terracotta with glaze Dimensions
Height: 279.5 cm (110 ″); Width: 212 cm (83.4 ″)

The snake has a woman's face that resembles Eve's.

During this period, women were often described as untrustworthy, and this negative idea is reflected in the gender of the face of the snake.

Hans Holbein the Younger - An Allegory of the Old and New Testaments - Google Art Project
ハンス・ホルバイン(Hans Holbein (der Jüngere), 1497年/1498年 - 1543)
Hans Holbein the Younger - An Allegory of the Old and New Testaments 1530年
技法 パネル(木板)に油彩 寸法 高さ: 746.10 mm;幅: 641.30 mm

Michelangelo Sündenfall
The fall depicted in the Sistine Chapel by Michelangelo(1475–1564) 

Temptation of Adam and Eve
Temptation of Adam and Eve in Azulejos in Coimbras Chapel,
Braga, Portugal.Years built c. 1505
(コインブラス礼拝堂:ポルトガル・ブラガにある礼拝堂。マヌエル様式建築)

Paintings of Adam and Eve by Lucas Cranach  楽園の蛇は、アダムの先妻(女)であるか、悪魔(男)であるか、・・クラナッハの絵ではただの蛇である。

「イブ(エバ)やマリアは人間であって、女神ではない」といえるが、神話・聖書に登場するので、一応女神の近縁に入れておいてもよいと考える。

ところで、初めに書いたように、「人類最初の女」は、ギリシア神話ではパンドラ.であり、
最後にパンドラも挙げておきます。
*(https://ja.wikipedia.org/より引用)

アダムとイブのイラスト素材・・ https://www.istockphoto.com/

人類最初の女

Pandora


プロメーテウスが天界から火を盗んで人類に与えた事に怒ったゼウスは、人類に災いをもたらすために「女性」というものを作るようにヘーパイストスに命令した。

ヘーシオドス仕事と日』(47-105)によればヘーパイストスは泥から彼女の形をつくり、神々は彼女にあらゆる贈り物(=パンドーラー)を与えた。

アテーナーからは機織や女のすべき仕事の能力を、アプロディーテーからは男を苦悩させる魅力を、ヘルメースからは犬のように恥知らずで狡猾な心を与えられた。そして、神々は最後に彼女に決して開けてはいけないと言い含めてピトスを持たせ、プロメーテウスの弟であるエピメーテウスの元へ送り込んだ。

美しいパンドーラーを見たエピメーテウスは、プロメーテウスの「ゼウスからの贈り物は受け取るな」という忠告にもかかわらず、彼女と結婚した。

そして、ある日パンドーラーは好奇心に負けて甕を開いてしまう。すると、そこから様々な災い(エリスニュクスの子供たち、疫病悲嘆、欠乏、犯罪などなど)が飛び出した。しかし、「ἐλπίς」(エルピス)のみは縁の下に残って出て行かず、パンドーラーはその甕を閉めてしまった。

こうして世界には災厄が満ち人々は苦しむことになった。ヘーシオドスは、「かくてゼウスの御心からは逃れがたし」という難解な言葉をもってこの話を締めくくる。
最初の女性であるパンドーラーが人類に災厄をもたらしたという神話が作られたのは、ヘーシオドスが徹底した女嫌いだったためとされる。

J.D.Batten Pandora 1913
John D. Batten, “The Creation of Pandora”, 1913,
tempera on fresco, 128 x 168cm, Reading University
J. D. Batten (1860-1932)
Alaux, Jean - Pandora carried off by Mercury
ジャン・アロー (1786–1864)
Pandora carried off by Mercury 19th century
Lawrence Alma-Tadema 10
Dante Gabriel Rossetti - Pandora
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ (1828–1882)
Pandora MET DT2160
オディロン・ルドン: Pandora(1914)
キャンバス、油絵 高さ: 143.5 ㎝;幅: 62.2 ㎝ メトロポリタン美術館

「マリアは、予型論的に見れば新しいEVA(ラテン語の天使祝詞AVEの逆さ読み。ルカ1.18)」であると、「西洋シンボル事典―キリスト教美術の記号とイメージ―』(ゲルト・ハインツ=モーア著 (八坂書房2003)
マリアの項へ・・・

2019年 8月28日(水) LastModified: 2021年


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