花冠 2009年3月
       

言葉言葉言葉:猫頭のノート 花冠

       

「そうか、もう君はいないのか」 を読みました。詩を一つ。

旗 たため (城山三郎)

旗振るな
旗振らすな
旗伏せよ
旗たため
社旗も 校旗も
国々の旗も
国策なる旗も
運動という名の旗も
ひとみなひとり
ひとりには
ひとつの命
走る雲
冴える月
こぼれる星
奏でる虫
みなひとり
ひとつの輝き
花の白さ
杉の青さ
肚の黒さ
愛の軽さ
みなひとり
ひとつの光
狂い
狂え
狂わん
狂わず
みなひとり
ひとつの世界
さまざまに
果てなき世界
山ねぼけ
湖しらけ
森かげり
人は老いゆ
生きるには
旗要らず
旗振るな
旗振らすな
旗伏せよ
旗たため
限りある命のために

支店長の曲り角 」より

「詩を書かぬ時期こそあったが、詩を読まぬ時期はなかった。詩はわたしに新鮮な衝撃を、あるいはやすらぎを与え続けてくれた。詩のない生活は考えられなかった……」
       

花冠 引用の花集め

       

言葉の花集め
(花=アントスを集める〜⇒アンソロジー)


季節の詩語



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そうか、もう君はいないのか