小川のほとり、 赤い行李柳の花のあとから、 数知れぬ黄色い花が この幾日 こんじきの目を開いた。 そしてとうに純潔を失った私の心の底で、 思い出が 生涯のこんじきだった朝の時間を揺り動かし、 花の眼で朗らかに私を見つめている。 行って手折ろうとは思ったが、 今は彼らをすべてそのままに 一人の老いた男、私は家へ帰っていく。 (尾崎喜八訳) |
http://www.linkclub.or.jp/~a-mama/hana/koza/sozai/sz2/szkoriya.html Hermann Hesse http://www.h5.dion.ne.jp/~diyberg/contentsbooks.html 尾崎喜八 明治25年(1892)〜昭和49年(1974) http://www2s.biglobe.ne.jp/~matu-emk/ozaki.html |