言葉 言葉 言葉!

コピーライト

WEBページの©表示の法的な意味について

著作権

copyright (コピーライト)は「著作権」と訳すが、
コピーの概念で、

copyは「書かれたものを写して増やすこと」が本義。
中ラテン語cōpia(多量,書かれたもの).
原義は「多量」. 「書かれたもの」は原物を多数化すること.
copious 豊富・・ ラテン語 copious から。

http://ejje.weblio.jp/content/copyright この中で、『ライフサイエンス辞書」では、 copyright: 著作権(不正確な用語につき用いないことが望ましい)という注記がある


版権(はんけん)は、著作権の旧称 

版権は、自著の海賊版に悩まされていた福澤諭吉が、1873年(明治6年)7月17日に東京府に提出した著作権保護の重要性を訴える文章の中で、
「copyright」の訳語として「出版の特権、或は略して版権」と記述したことに由来する・・(Wikipedia

※「著作権は著作物の複製・頒布に関する封建時代の特権という種子から結実」したものである。「この特権は著作者やその相続人などの利益を尊重することなく、直接印刷・発行したものに与えられる。」

著作者のための著作権に転換したのは、1710年の英国のアン法で、勅令により、出版社組合(教会)の書籍の出版に関する独占権を廃止した。

そこに著作権の複製に関する権利から著作者の権利の創造へ法理の混乱の原点がある。(「知的創造サイクルの法システム」p31より 児玉晴男著2014)


ところで、

著作権で保護される対象は、著作物創造としての著作物だけでなく、著作物を伝達する行為にも及ぶ。著作物を伝達する行為は、著作物創造に関連する権利となる。 copyrightアプローチでは、著作物を伝達する行為という概念を有しない

国際著作権法会の法理にはcopyrightアプローチと、author's アプローチが残存している。
(「知的創造サイクルの法システム」p59より 児玉晴男著2014)


国際的な著作権条約は、1886年締結のベルヌ条約が初めであった。
この条約は著作権について無方式主義・内国民待遇原則で、大陸法の流れにある。日本は 1899年に加盟している。

一方、米国では、1910年のパンアメリカン著作権条約で、©マークなどの必要事項
を記載したうえで登録申請しなければ、著作権は保護されなかった。

このような方式主義をとる国とベルヌ条約加盟国との調整が課題となり、ユネスコの提唱で、両者の橋渡し的役割を果たすために、万国著作権法が、1852年に、ベルヌ法を補完するものという位置づけで締結された。
日本は1956年に加盟している。 

これにより、方式主義国でも、©マーク表示、著作権者名および最初の発行年の3つがあれば、すべての著作権が保護されることが定められた。
©マーク表記による二つの条約の保護機能の調整である。

このように©マークは、ベルヌ条約をパンアメリカン条約の調整のために導入さえたものであるが、米国がベルヌ条約に加盟した時点(1989年)で 本来の意味は空洞化している。

それにも関わらず、ウエブページに©マークが書かれ続ける法的な意味とは、著作物を有体物として保護するcopyrightアプローチと、著作物を無体物のまま保護されるauthor'sアプローチという二つの法理の交差による課題となって生じている。

©マークは単純にcopyrightを表記するものとはいえない。

ベルヌ法加盟国は、著作権の表示にはどのような表記も必要としないが、コンベンショナル、形式的に、様式化された著作権を告知するものとなっている。これにより、著作者の人格権(指名表示件、同一性保持権)を表示し、著作権の期間などが明確にわかる、便利な慣例として機能し続けている。


今日の著作権の課題・・

著作権法制には三つの法理がある。
 著作権法は、著作者からの観点で、物件と債権を明確に区別するパンデクテン体系であり、
 著作権管理事業法は、著作権管理者からの観点により、物件と債権とが有機的に結合した信託となる。
その方理の違いは、著作権の移転に関して、一対一の対応にない。
 コンテンツ促進法は、出版権、(copyright)さらに出版組合の登録という著作権法制の起源における法理を反映している。
この三つの法律の相互の関係に整合性が求められている。

 コンピューターを利用した情報の流通形式が著作権に与える課題は、無体物である著作権の保護対象を有体物に擬制して理解・解釈してきたことに対し、電子化される著作物の流通様式の視点からの調整が加えられなければならない。(「知的創造サイクルの法システム」p32-33より 児玉晴男著2014)

なお、all rights reserved の表記、all rights の留保・予約としては適切なものとはいえない。
この語の翻訳では「不許複製」(JST科学技術語日英対訳辞書)あるいは「無断転用禁止・無断複製禁止」(研究社新和英辞典)となっている。

現時点で、 ©マーク表示、著作権者名および最初の発行年の3つの表記は「copyright表記を置くだけで、常識がありきちんとしてるサイトっぽく見えるから」
http://yoshioffice.com/)という意味も持ち、定型慣用となっている。


猫頭HOME byM