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焔が凍るというのは・・逆説というか、 シェークスピアの有名な修辞法ですね。 それはこうです・・・ 「ああ争う恋、ああ恋しての憎しみ、ああ無から生じた有、 ああ重い軽はずみ、真剣な戯れ、美しい姿の醜い取り乱し、 鉛の羽根、輝く煙、冷たい火、病める健康、 いつも覚めているほんものでない眠り」 (シェークスピア『ロミオとジュリエット』) 「理知的なジュリエットなんて、炊きたての冷飯、 痩せぎすの肥っちょ、見上げるような小男、 前途洋々の老人、抜群の不成績、一匹狼の大群、 何千何万という四十七士、傾国の醜女、 不親切な人情家みたいなものだ」(井上ひさし『青葉繁れる』) 「むしの好かないやつが親切で、 気の合った友だちが悪者だなんて、人をバカにしている。 おおかた、いなかだから、万事東京のさかにいくんだろう。 ぶっそうなところだ。 いまに火事が凍って、石が豆腐になるかもしれない」 (夏目漱石『坊っちゃん』) |
清岡さんの
自伝的小説の「アカシヤの大連 」 (第62回 芥川賞)も思い出されますが 第一詩集の題は『氷った焔』でした(1959年)・・ 最近は、詩集『一瞬』(思潮社)で 2002年現代詩花椿賞 (資生堂)をうけられたのですね。 あと・・「 猫町」 (萩原朔太郎/清岡卓行編 岩波文庫1995刊)・・ |
人生は思ったほど悪くも 良くもない。 そんな感想をふと浮かばせる蓋然性(プロバビリテ)の魔。 ああ 遠い日に 原爆で倒れた友。また 二十才のとき 生を呪って自殺した友よ。(「行程」) |
氷った焔
・・・・どこから世界を覗こうと 見るとはかすかに愛することであり・・・ きみの絶望が希望と手をつないで戻ってくることを きみの記憶と地球の円周を決定的に選ぶことを 夜の眠りの前に君はまだ知らない |
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