厳粛な遊び:新年カウントダウン
「秋の歌」
まもなく私たちは沈むのだ 冷え冷えとした闇の底に。
お別れだ、まぶしい光よ、私たちの夏は短かすぎた!
早くも聞こえてくるではないか、陰惨な衝撃とともに
中庭の敷石にたきぎの落ちて鳴る音が。
冬のすべてが私の中に立ち戻る。怒り、
憎しみ、おののき、怖れ、逃げられぬつらい労働、
そして、極北の地獄に閉ざされた太陽に似て、
私の心も 赤く凍ったかたまりにすぎなくなろう。
落ちたるたきぎの一つ一つにふるえながら聞き入れば、
死刑台を建てるにもこれほど鈍いこだまはすまい。
私の精神は崩れ去る塔にそっくりだ。
城攻めの重い大槌をひっきりなしに打ち当てられて。
あの単調な衝撃に揺られていると、気のせいか、
どこかで慌しく棺桶に釘でも打っているようだ。
誰の棺? _−昨日は夏だった、いまは秋!
この不思議な物音は別離の合図のように鳴りわたる。
シャルル・ボードレール 「秋の歌」(抜粋)『悪の華』1857年 安藤元雄訳
まさしくはげしい感情(絶望と頽廃?)流露ですね・・・
もう一つ
穏やかなものを・・っていうか、もうちょっと違うものを
月みてもさらにかなしくなかりけり世界の人の秋と思えば
つむりの光
月見れば千々に物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど
大江千里 小倉百人一首
歌よみは下手こそよけりあめつちの動き出(いだ)してたまるものかは
宿屋飯盛=石川雅望(国学者 狂歌師 本業宿屋)
「和歌は力も入れずに天地を動かす・・」
紀貫之 「古今集」序
三階の旅館は日覆いをいつの間にか外した。
遠い物干し台の赤い
張物板ももう見つからなくなった。
町の屋根からは煙。遠い山からは蜩(ひぐらし)。
「ある午後」梶井基次郎『城のある町』
※自身夭折の梶井が、暑いさなかに妹をなくし、秋に姉の家に滞在していた23歳の時の物語作品
検索していて、ちょっと面白そうな本発見(読んでみますね〜)
芳賀徹『みだれ髪の系譜』詩と絵の比較文学
1 詩の十字路(みだれ髪の系譜-蕉村・晶子・アールヌーヴォー、
かなしい遠景-ビアード博士と朔太郎、
淡青い空-立原道造の手紙から、
六月のユートピア-茨木のり子の詩一篇)
2 訳詩のなかの日本(秋の歌-日本と西洋、
「ぴあの」の詩-永井荷風とヴェルレーヌ)
3 ヨーロッパをこえて(ルソーの桃源郷-サン・ピエール島の「間適」、
ズライカ讃歌-ゲーテの『西東詩集』より)
4 異郷の日本美術(コネティカットの大正版画、
オクラホマの若沖、
ライデンの川原慶賀)
5 夜半亭のほとり(パクス・トクガワーナ〔徳川の平和〕
9月の思い出
9月はせっせとくす玉づくりをやっていました
※金ぴかくす玉くん作製まとめ
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2010年12月17日(金)