言葉言葉言葉:猫頭のノート 花冠

       

優しくまた時がめぐってくる頃

フランス詩を読む

優しくまた時がめぐってくる頃
森は緑となり 鳥たちは
それぞれに自分の言葉で
あたらしい歌の詩句をうたっている。
さぁ、何よりも欲しいものを
手にしようと望むのは
まさにいまなのだ。

(ギエム・デ・ペイテュ 1071~1127  饗庭孝男訳〉


このごろ饗庭さんを集中して読んで、饗庭さんというのは、「ロマネスクを愛した」フランス文学者というか、ロマネスク美術においても、専門的に研究された「フランス文学者」だった事がわかった・・。
今までは饗庭さんというと、フランスの詩人ランボー、小林秀雄論などが思い浮かんでくるのだったが・・。(彼は、2年前の2月に亡くなっておられた・・)
『フランス四季暦』などで、ピレネー山麓の ポーに留学した話なども読んだが、 そこでサン・フォア教会を見たのが、ロマネスクに出会った時だったという・・・
*ここで、サン・フォア教会というのは、コンクの有名な教会でなく、モルラス(Morlaarモルラア)村の教会。
修道院・聖堂での「人生のエア・ポケット」という表現が、そうかと・・。
他の書でも、 「久しいその歴史をうちに秘めて、静かにひっそり佇む教会は、束の間の「生」を生きるわれわれを、 「時間の外」に出してくれるという、限りない魅力にあふれているのである。」・・と。(『フランス・ロマネスク』)・・
「世界は変わらず、足早に人生を過ぎてゆくのは、私であり、人間たちだ」

『フランス四季と愛の詩」饗庭孝男編/訳
以下の23の詩がありましたが、アポリネールもランボーも懐かしい・・。

優しくまた時がめぐってくる頃 ペイテュ
五月に日々の長くなるころ リュデル
五月に アポリネール
恋は死んだ アポリネール

感覚 ランボー
薔薇 リルケ
私は愛する、その頃の・・・ジャム

僕の放浪 ランボー
NEVERMORE ヴェルレーヌ
秋の歌 ボードレール
秋 アポリネール
病んだ秋 アポリネール

冬に寄せる夢 ランボー
雪が降るだろう ジャム
話によると、降誕祭では ジャム

ソネ 第八番 ルイーズ・ラべ
ソネ 第十三番 ルイーズ・ラべ
ミラボー橋 アポリネール
第十四の悲歌 ジャム
朝の食事 プレヴェール
庭 プレヴェール
私はひとりではない エリュアール
三枚の絵による肖像 エリュアール

感覚 アルチュール・ランボー(1870)
夏の青い宵に 僕は行くだろう、小径をとおり、
麦の穂につつかれ、細かな草を踏もうと、
夢想家の僕は、草の夕べの冷気を足に感じ、
風にあらわな顔を任せたまま。

僕の放浪(ファンテジー) アルチュール・ランボー
僕は出て行った、破れポケットにこぶしを突っ込み、僕の上着も結構なシロモノとなった。
空の下を僕は行った、詩神よ! 僕はあなたの従僕だ、
やれやれ、それにしても!僕は何と素晴らしい愛を夢見たことだろう!
*ランボー( Jean Nicolas Arthur Rimbaud, 1854年10月20日 - 1891年11月10日)の生まれたところ シャルウヴィルの農家シャルウヴィル Charleville-Mézières (Wikipedia)
Salle du Musée 09228