シェークスピアの劇的独白を愉しむ





言葉で塗りたくって
ハムレット 第三幕第一場

LORD POLONIUS
Ophelia, walk you here. Gracious, so please you,
We will bestow ourselves.

To OPHELIA

Read on this book;
That show of such an exercise may colour
Your loneliness. We are oft to blame in this,--
'Tis too much proved--that with devotion's visage
And pious action we do sugar o'er
The devil himself.

KING CLAUDIUS
[Aside] O, 'tis too true!
How smart a lash that speech doth give my conscience!
The harlot's cheek, beautied with plastering art,
Is not more ugly to the thing that helps it
Than is my deed to my most painted word:
O heavy burthen!
Act 3, Scene 1 A room in the castle.


Saxo Grammaticus: Gesta Danorum

12世紀の歴史家サクソ・グラマティクスがあらわした
古代ハムレット伝説(デンマーク人の事績)というものがあるという。
アップダイクはをそれを(も)を利用して
ガートルードとクローディアス」という小説を書いた。

三部に分かれていて、その全部が「王は激怒した」で始まるのだ。
しかし、王は三人。
最初の王はガートルードの父
次がガートルードの夫ハムレットの父
次がクローディアス…

このクローディアスというのは、
やむなく自己防衛的に殺人はしたけどそれ以外は善人。(にみえる)
ちなみに、志賀直哉にとっては殺人もしない善人にみえるようだ。

さて、第3幕第1場である。


ポローニアスがオフィーリアに

「ここを歩いていなさい。この祈祷書を読みなさい。
お勤めをしている振りをすれば
一人でいてもおかしくはあるまい、
敬虔そうな顔つきと殊勝な振る舞いで
内心の苦い悪魔を砂糖の衣で覆い隠してしまうというのは
よくある手口だ。」

それをきいて
クローディアスは言っている
「その一言が、この良心を鋭く鞭打つ」と。
「化粧を塗りたくった娼婦の頬も
言葉を塗りたくってごまかしたわが行為ほどに醜くくはない。
ああ、なんという罪の重荷だ。」

やっぱり彼は兄弟を殺したのである!

(この後、あの生きるべきか死ぬべきかの
ハムレットの第4独白になる)

アップダイクによればこの時
ハムレットは30歳でガートルードは47歳でクローディアスは59歳
ポローニアスは70歳オフィーリアは18歳なのだった。


想像力のおまけ
アップダイクによるオトナ向きのHAMLETの前史!?


逆に少年少女向きのあらすじ!?
http://www.schoolpress.co.jp/meisaku/volume2/b_hamu.htm


志賀直哉の「※致命的な読み落とし※」
http://d.hatena.ne.jp/rashu/20051121