今年のテーマは星。北天の星座・南天の星座・(中央の)黄道12宮の星座と見てきましたが、今日からは、惑星を見ます。まず、わが太陽系で、太陽に近い順で水星から。
シンボルというものがどのように生じたのかを考えるには、各惑星がどのように見えたかを検討することが有益である。
水星の小点は鋭い弧を描いて動くが、この弧状の運動は、これより光り輝いているがずっと緩慢に六カ月のリズムで出没する金星に対して行われる。
(『占星術 天と地のドラマ』p6)
古代の宇宙観は階層性に基づいていた。
彼らはこれをハデス(冥界)から、元素と惑星を通って、オリンポス(天界)に立ち上るものと見た。
オリンポスは六人の男と六人の女性から成り、宇宙を動かす能動力、および受動力を表わしていた。、
このグレコ・ロマン風図式の版画では各惑星の層が示されており、土星の天球は獣帯に含まれている。
惑星帯の支配者としては、月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星の七惑星神が最大の影響を及ぼした。(『占星術 天と地のドラマ』p27)
※グレコ・ローマン時代
美術史上、古代ギリシアからローマへの過渡期の時代。紀元前140年頃から紀元後300年頃までをさし、ローマ人の求めに応じてギリシア美術が盛んに制作された。特に彫刻が対象にされ、多くは模刻(もこく)。
天なるはしご
ライムンドゥス・ルルス『デ・ノヴァ・ロギカ』(新論理学について、1512)
この中世のキリスト教的版画では、意識のはしごは、石、植物、星、そして天使、人間、動物から成っている。
存在が切れ間のない連続体であるとの観念は占星術の基礎をなしていた。
全ての身体と心は全ての持物により影響を受けた。常に優るものが劣るものを支配してはいたが。(『占星術 天と地のドラマ』p27)
13世紀に活躍した哲学者・著述家のラモン・リュイ Raymond Lull
(またはRaimundus Lullus、ライムンドゥス・ルルス(1232頃– 1315)は、
スペイン・マヨルカ島の人。カタローニャ語で著作。
ダンテ・アリギエーリ(1265-1321、イタリア語)やマイスター・エックハルト(1260頃-1328頃、ドイツ語)に先んじ、自言語を使用する著述家の先駆け。 ja.wikipedia
この人、ぜんぜん知らなかったのですが、すごい人だったみたいね。以下の図・・
上昇と下降のはしご、
Ramon Lull's Ladder of Ascent and Descent of the Mind, first printed in 1305 https://ca.wikipedia.org/Ramon_Llull
この図を検索していたら、マインドマップのルーツとして紹介しているサイトがあった。
※ https://www.kiokuanki.com/rekishi/ramonlill.html
「文字をイメージ化したり絵に埋め込む記憶術・・キーワードを絵の中に組み込んで記憶を助けるといった手法」とある。
Terrestrial planet size comparisons
同縮尺の地球型惑星。左から、水星、金星、地球、火星。
This diagram shows the approximate relative sizes of the terrestrial planets, from left to right: Mercury, Venus, Earth and Mars. Distances are not to scale.
水星について、wikipediaをみてみたが、この項目はどの国のwikipediaにも星がついていた。 ja.wikipedia も★つきの称賛を受けている。(色は黒い★の方だが)なので、以下、長くなるが引用する。(閲覧20201213)
水星☿について記述された最古の観測記録は、紀元前14世紀頃のアッシリア人によって作られたと考えられる星図表Mul.Apinである。この表における水星の楔形文字表記は(the jumping planet、「跳ぶ星」)と訳された。
惑星記号
ヘルメスの伝令杖「ケリュケイオン」(ラテン語でカドゥケウス、二匹の蛇の絡んだ杖)は、現在は商売、交通などのシンボルとして用いられているが、占星術・天文学では古くから、これを図案化したものが水星の記号(☿)として用いられる。
錬金術では七つの金属が惑星によって象徴され、ヘルメス/メルクリウスは水銀と関連付けられたため、水星の惑星記号が水銀の記号として使われた。
→自サイトでは・・hermes.htmlのほか、 杖というもの全般を見ました。
Mercurius - De Sphaera - Biblioteca Estense lat209
Già attribuito a
Cristoforo de Predis
Biblioteca estense universitaria di Modena
写本『デ・スファエラ』(天体について)のミニアチュア
イタリア、15世紀 DeSphaera
占星術
水星は七曜・九曜の1つで、10大天体の1つである
。
西洋占星術では、双児宮と処女宮の支配星で、吉星である。流動性を示し,過信・交通、商売、旅行、学問、知識関係、兄弟に当てはまる.
(ja.wikipedia)
全ての惑星神は宇宙的原理の象徴的図式であった。
観察と思索と啓示に基づくそれらの各図像は、神話とともに、原型と比喩によって、神のうちに体現された法を説明している。
これは理性以前の科学の、また人類の無意識なるものの言語なのである。(『占星術 天と地のドラマ』p25)
占星術はほとんど2世紀にわたって食にあった。
その名残は言葉に見られる―
人々は
土星的(サタ―ナイン 陰気な)
火星的(マーシャル 勇敢な)
水星的(マーキュリアル 敏活な)等と呼ばれている。
(『占星術 天と地のドラマ』p62)
水星(メルクリウス)はギリシア人によりヘルメスと呼ばれたが、これは敏活な心、鋭い才気、意思疎通と弁舌の神格化であった。
行く手に現われるものを何でも取り上げ、次には捨て去る忙しない若者というイメージで見られたこの星は、感覚の背後にある原理とみなされた。
(『占星術 天と地のドラマ』p6)
神々の使者としてのこの星神は、世界の出来事を彼らに伝え、その返信を運んだ。
好奇心の神として彼はカドゥケウス、つまり魔法から統計学に至る、あらゆる知識の冴えを示す杖を携えている。 彼には旅行、商売、意思疎通、全般的知識、徳性および素早い行動などの統御力が与えられた。
成り行きよりも現在の熱狂により多くの関心を持つ彼は、狡知と無責任の光輝く使者であった。(『占星術 天と地のドラマ』p6)
水星(メリクリウス)のカメレオン的性格は、この惑星をして、どの獣帯の宮に在ってもそれを知性で活気づける。
さらに、図中で、他の惑星と近いときには、その惑星の機能を。自己のものとし、鋭敏さを付加する。
水星は人間の本性の可変的側面を表わす。
(『占星術 天と地のドラマ』p46)
Beham, (Hans) Sebald (1500-1550): Mercury,
from The Seven Planets with the Signs of the Zodiac,
版画制作が盛んだった16世紀前半のドイツでは、
葉書大から切手大ほどの小型銅版画を作る版画家が現れた
。そうしたベーハム兄弟、ゲオルク・ヘンツ、ハインリッヒ・アルデグレーファーらは
「クライン(小さな)マイスター」と呼ばれた。
(国立西洋美術館https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/)
その版画作品。
各占星術用惑星はある種の職業で表現される。
ここでは水星の原理が、熟練、すなわち心のの機敏さと手の器用さのうちに表わされている。
冷静で正確な水星的職業は、一時的で時には底の浅い知恵を要する巧妙さを持っている。
彼らの商標は、速さと互換性で、この職業に携わるものは、常に関心の焦点が変わることですぐわかる。(『占星術 天と地のドラマ』p71の図と解説)
いやぁ、ピアニストがいるではないですか・・う~ん?
Woodcut by Hans Sebald Beham (1500-1550), from "The successions of the weekdays":
under the astrologic sign of Mercury a set of scenes of urban life in those days (Wednesday).
Although homicide was everything but unknown in those times,
the man with the knife on the left is allegedly a physician, not a professional killer. (こちらの解説はhttps://images.app.goo.gl/から引用)
次は、金星 を見ます。
今年の振り返り:
昨日発表の「今年の漢字」は「密」であった。
三密(さんみつ)とはコロナウイルス対策では
「密閉」「密集」「密接」の
三密を避けると言われ、最近はイメージが
悪いですが、真言密教では三密というのは別の意味だそう。
「仏様の行動・言葉・想いを我々が受けることができれば
すぐに悟りを得ることができるという意味です。」
真言密教における三密 | 徳島市 蔵本町 地福寺)
wikipediaでは、以下のように硬いです。(本日閲覧)
密教の用語で、
「身密・手に諸尊の印契(印相)を結ぶ」、
「口密(語密)・口に真言を読誦する」、
「意密・意(こころ)に曼荼羅の諸尊を観想する」の総称。
これに対し、
デジタル大辞泉の解説には、早速以下のように記されていました。コトバンク
1 密教で、身・口(く)・意の三業(さんごう)。手に印を結ぶ身密、口に真言を唱える口密(くみつ)、心に本尊を観念する意密。
2 感染症の蔓延を防ぐために、人々が避けるべき3つの行動。換気の悪い密閉空間に居ること・多くの人が密集する場所に居ること・近距離での密接した会話をすること。令和2年(2020)、COVID-19流行の際に東京都が提唱した。
まさに、三密を避ける年であった・・
・・が。
「go to トラベル」で、11月のふれあい花壇の植え付け後、慰労会擬きで、4人で九州・大分に二泊三日の旅をしたりも。
蛇足だが、「今年の漢字」は漢検のイメントであるから、「密」という漢字を解説しておこう。
”すきまがない”ことを表すのが基本的な意味。
(密接、密着、密度、密集など)
転じて、”関係がとても深い”ことも表す。
(「親密な仲」、「緊密に連絡を取る」など)
さらに転じると、”ほかの人には知られない”という意味ともなる。
(密告、密売、秘密、内密など)
一方”隙間がない”から変化して、”細かくて手抜かりがない”ことも表す。
(綿密、厳密、精密)
成り立ちには諸説があるが、字の形からすると、本来は”木がびっしリ生えて、奥まではたどりつけない山をあ表わしていたと考えられる。
そこで部首を「山」として、部首が「虫」の「蜜」との整合性をとろうとする辞書も有る。(ふつうは「宀」(うかんむり)の部)
参考:円満字二郎『漢字ときあかし辞典』・・この本は『部首ときあかし辞典』とともに、読ませられる必携辞書です。
今年『漢字の植物苑: 花の名前をたずねてみれば』を出されてので、いかが!?