2003/12/5
「夜」
今日は 好きだった詩を プレゼントにしましょう
ゴッホ



星月夜
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夜の道




この道を一度行った 七つのときに


私は貧しく富んでいた!


私は両手に抜き身でもさげているようだった


そのひとふりに空の星さえふるえていた




十七のとき この道をまた行った


私はもっと孤独だった


青ざめた風の中に何かかすめていくものがあり


空から見知らぬ世界の光がさしていた




いま 私はお前の手を引いていく お前はただ

私の手を感じているばかりだ


かって私は七つだった・・・・・・


そして昔の日は 今かすかにきらめいている
夜の闇に


まぼろしの手が青白いひかりで描いたまま


Gesammelte Gedechte(1907)
Nachlese der Gedihete(1934)
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hosi
tuki
utyu



かすかな印象を捉える鋭敏な感受性
知的意志、典雅な形式とリズム感のある象徴詩は
Hugo von Hofmansthal

フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(1874-1929)は
オーストリアの首都ウィーン生
戯曲作家/詩人
代表作
エウリピデスのギリシア悲劇『エレクトラ』を
現代劇として翻案した
戯曲エレクトラ(1903)


皇帝の妃となった妖精が、
完全なる人間になるために、
永遠の若さや美しさを代償として、ある女性から
影とこどもを生む能力を買おうとする話
「影のない女」(1919)・・・
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通り過ぎてゆく人に




あなたは思い起こさせてくれた


私の中にそっと隠れていたものを


あなたは私の心の いと


ささやく夜の風だった


神秘な


息づく夜の叫び声だった


そのとき 戸外 そと には雲が流れ


ふと夢から めると


狭い身近の世界が


青くひろびろとした世界となって


月光を透かした小枝の中で


かすかに風にそよいでいた


m

絵はゴッホです
Vincent van Gogh(1853〜1890) 今年生誕150年でした

世界で一番有名な画家かもしれないゴッホは、
典型的な芸術家のイメージの一つだ。
彼を語るとき余りにドラマチックな人生のため、
作品だけを独立させて語るのが難しくなっている。

確かに彼の人生は余りの悲惨の連続で、
涙するどころか、笑うしかなくなってしまうくらいだ。

「巨匠に教わる絵画の見方」視覚デザイン研究所 1996
(PS* この本は編集後記まですっくり読ませられてしまう、すごい本でした)

なお・・・・・ゴッホもそうだが、この詩で
ホーフマンスタールが手を引いていた息子も、
ホーフマンスタールが55歳の時ピストル自殺をして
ホーフマンスタールはそのお葬式の最中に心臓発作で急死したという・・
哀れなるかな・・i~∧(-.-)
goch星月夜
Vincent van Gogh(1853−90)
星月夜
(おまけ) クリックすると緑・花文化問題へ


《名詩についての補遺》

ちょっと甘い情感をそそる音楽や詩をさす言葉に
リリック、リリカルというのがありますが、
これらはギリシアの竪琴のリラから出た言葉だそうで
Luricリリックは「名詩」とも訳されます。

この竪琴を発明したのはヘルメスで、まだ赤ん坊のころ、
亀の甲に牛の腸の筋を弦にしてはり、鳴らしたのだという。
兄のアポロンが欲しがるので、牛の群れととりかえっこした。
これが発明検の譲渡に関する先例とされ、商業の神様とされる。
彼のもつ蛇のまといついた翼を持つ杖は、
一橋大学の徽章にもなっている。
翼のついたサンダルを履いている。
父はゼウス、母な巨人アトラスの娘のマイア。
ホメロスでは、ゼウスのお使い番伝令として活躍する。
追いはぎと旅行者、強盗と銀行の両方をつかさどる。
古代ギリシアの彫刻家プラクシテレスの大理石像が有名。

ローマ名 マーキュリー

赤子のディオニソスを抱くヘルメス像
http://forum.nifty.com/fworld/pictures/greek0205/08.htm
ギリシャ オリンピア考古美術館所蔵
大理石,像高 2.12m 前4世紀
lyre


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