「よく晴れた秋の日の午後、二月堂に登って、ぼんやりしていた。
欄干に組んだ両腕の中に、猫のようにあごを乗せ、
大仏殿のしびの光るのやら、
もっと美しく光る銀杏のの葉っぱやら、
甍の陰影、生駒の山肌、
いろんなものを目を細くして眺めていた。
二十年ぶりである。
人間は、なんと程よく過去を忘れるものだ。
実にいろいろなことがあったと思うのも亦た実に程よく忘れているというその事だ。
どうやら俺は日向の猫に類している。」
「「失われし時をもとめて」 気味の悪い言葉だ、とふと思う。
万人にとっては時は経つのかもしれないが、私達ちめいめいは
蟇口でも落とすような具合に時を紛失する。
紛失する上手下手がすなわち時そのものだ。
(小林秀雄『秋』昭和24年)
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「新明解」さんじゃないけれど、
「国語辞典」君を引きましょう
あき 【秋】
(1)四季の一。夏と冬の間の季節。
太陽暦では九月から一一月まで。
陰暦では七月から九月まで。
また、二十四節気では立秋から立冬まで。
天文学上では秋分から冬至まで。
「―たけなわ」「実りの―」
(2)和歌などで、「飽き」にかけて用いる。
「わが袖にまだき時雨の降りぬるは君が心に―や来ぬらむ/古今(恋五)」
〔特に重要なことのある時期の意で「秋」と書くことがあるが、
この場合は一般に「とき」と読む。→時〕
――暑し
立秋が過ぎても暑さがきびしい。残暑をいう語。[季]秋。
――惜しむ
去り行く秋を愛惜の念を持っていう語。[季]秋。
《戸を叩く狸と秋を惜みけり/蕪村》
――涼し
秋になって快い涼味を感ずるさま。[季]秋。
――高し
秋の空の、澄みわたって高く感じられるさま。天高し。[季]秋。
《痩馬のあはれ機嫌や―/村上鬼城》
――立つ
秋になる。立秋になる。[季]秋。
《―や何に驚く陰陽師/蕪村》
――の鹿(しか)は笛(ふえ)に寄る
秋の鹿は鹿笛の音にも、牝鹿の鳴き声と思って寄ってくる。
恋に身を滅ぼすたとえ。
また、弱点に乗じられやすいことのたとえ。
――の日は釣瓶(つるべ)落とし
秋の日没のはやさを、井戸に落とす釣瓶のはやさにたとえていう語。
――深し
晩秋、秋の気配が濃く趣が深まったさまをいう語。
深秋。秋闌(たけなわ)。 [季]秋。《秋深き隣は何をする人ぞ/芭蕉》
(大辞林)
うむ……
簡単な言葉であるが、勉強になったかな(⌒ー⌒ll
……ってどのあたりが??なんかかわいそう?
危急存亡の秋。
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