シェークスピアの劇的独白を愉しむ




憂鬱がじっと抱えて暖めている何か
ハムレット 第3幕第1場


KING CLAUDIUS
Love! his affections do not that way tend;
Nor what he spake, though it lack'd form a little,
Was not like madness. There's something in his soul,
O'er which his melancholy sits on brood;
And I do doubt the hatch and the disclose
Will be some danger: which for to prevent,
I have in quick determination
Thus set it down
: he shall with speed to England,
For the demand of our neglected tribute
Haply the seas and countries different
With variable objects shall expel
This something-settled matter in his heart,
Whereon his brains still beating puts him thus
From fashion of himself. What think you on't?

LORD POLONIUS
It shall do well: but yet do I believe
The origin and commencement of his grief
Sprung from neglected love. How now, Ophelia!
You need not tell us what Lord Hamlet said;
We heard it all. My lord, do as you please;
But, if you hold it fit, after the play
Let his queen mother all alone entreat him
To show his grief: let her be round with him;
And I'll be placed, so please you, in the ear
Of all their conference. If she find him not,
To England send him, or confine him where
Your wisdom best shall think.

KING CLAUDIUS
It shall be so:
Madness in great ones must not unwatch'd go.

Act 3, Scene 1 A room in the castle.




恋だと?いや、そんな浮ついたものではない。
口にした言葉も、とりとめのないものだが、
狂気とは思えぬ。あれの心には
憂鬱がじっと抱えて温めている何かがあるのだ、
それが卵から孵ったら
危ないことになる。即刻決断して、こうすることにした。

河合祥一郎訳


このあたり、ちょっと封印している、危機管理がどうとかいう、
日系BP社の例の本に必ず引用されている箇所だろうと思う。^o^;) 


ハムレットをイングランドに送る。
滞納された貢ぎ物を取り立てさせるのだ。
ことによると、海を越え、
異国のさまざまな品々を目にするうちに、
ハムレットの心にある何かのわだかまりも消え、
いつもせわしない頭の働きもおちついて、
昔の彼に戻るかもしれぬ。どう思う。

このときもう、ハムレットを英国で殺させる気になっているのか?
わからない。
さて、それはともかく、

この「有能なる王」のいう、
「憂鬱 メランコリア」とは?


Albrecht Durer(1471-1528)アルブレヒト・デューラー:「メランコリア」(1514)
憂鬱質(メランコリア)を表してる絵
季節は冬に対応する

肘を突いてる人は憂鬱質と言われている 。
考える人のポーズだ。
「メランコリーの黄金時代」と言われた北方ルネサンスの傑作銅板画。
シェークスピアの生まれる50年前の作品だ。
コノジンブツは女性ですって??(;´▽`lllA``
ヒポクラテスの四性論=人間の気質
多血質・胆汁質・粘液質・憂鬱質の四つに分けることが出来る

メランコリア(憂鬱質)はメライナ・コレー(黒胆汁)に由来する言葉
ヒポクラテスによると一つの物事を考え込んでいると新陳代謝が悪くなって
黒胆汁が出てきて人はメランコリア(憂鬱質)になる

http://www.tais.ac.jp/syllabus/syllabus/1041.html
学問と技術の象徴??

展覧会@パリ
http://www.rmn.fr/melancolie/
メランコリー―西洋における天才と狂気の歴史
La Melancolie : Genie et folie en Occident
2005 10/13 - 2006 1/16
メランコリーという西洋思想史上の重要なテーマを、
文献ではなくて図像学(イコノグラフィー)から見てみようというもの。



http://www.yamada-kj.com/大航海時代とルネッサンス
憂鬱気質が肯定的に捉えられ、
芸術的創作活動の源として考えられる
ようになった。
この話はまた。

精神科用語の雑学:メランコリー(Melancholy)
http://www.mh-net.com/lecture/yougo/melancholy.html



ルネッサンスの光と闇 ARTのおまけ
ルネッサンスの光と闇―芸術と精神風土高階秀爾著 中公文庫

新西洋美術史
西洋美術解読事典―絵画・彫刻における主題と象徴
http://homepage1.nifty.com/kurubushi/card45299.html
http://www004.upp.so-net.ne.jp/hyugado/m_gallery/m-004.html