シェークスピアの劇的独白を愉しむ




なんだ!鼠か?

第3幕第4場 居室の場

QUEEN GERTRUDE
Hamlet, thou hast thy father much offended.

HAMLET
Mother, you have my father much offended.

QUEEN GERTRUDE
Come, come, you answer with an idle tongue.

HAMLET
Go, go, you question with a wicked tongue.

QUEEN GERTRUDE
Why, how now, Hamlet!

HAMLET
What's the matter now?

QUEEN GERTRUDE
Have you forgot me?

HAMLET
No, by the rood, not so:
You are the queen, your husband's brother's wife;
And--would it were not so!--you are my mother.

QUEEN GERTRUDE
Nay, then, I'll set those to you that can speak.

HAMLET
Come, come, and sit you down; you shall not budge;
You go not till I set you up a glass
Where you may see the inmost part of you.

QUEEN GERTRUDE
What wilt thou do? thou wilt not murder me?
Help, help, ho!

LORD POLONIUS
[Behind] What, ho! help, help, help!

HAMLET
[Drawing] How now! a rat? Dead, for a ducat, dead!

Makes a pass through the arras

LORD POLONIUS
[Behind] O, I am slain!

Falls and dies

QUEEN GERTRUDE
O me, what hast thou done?

HAMLET
Nay, I know not:
Is it the king?
Act 3, Scene 4 The Queen's closet.

ハムレット、お前のことで父上はひどくお怒りです。
母上、母上のことで、父上はひどくお怒りです。
まぁ、まぁ、馬鹿な返事はやめなさい。
さぁ、さぁ、ひどい質問はやめなさい。
私がわからないの?ハムレット?
              いいえ十字架にかけて
わかっています、あなたは妃、あなたの夫の弟の妻、
そして、残念ながら、わが母上。
そう、そういうことなら、話の通じる者を呼びましょう。
いや、いや、おすわりださい、動いてはならぬ。
じっとして。今鏡をお見せします。
何をするの?まさか殺す気では。
助けて、助けて、誰か!

ポローニアス (壁掛けの背後から)おい、誰か!助けを!
ハムレット なんだ?鼠か!くたばりやがれ!

    剣を壁掛けに突き刺す。

ポローニアス(壁掛けの背後で)うう、殺(や)られた。
王妃 ああ、何をしたの。
ハムレット       さぁ、わかりません。
            王ですか。


河合祥一郎訳

うむ…
唐突に殺してしまった…
「この哀れな、そそっかしい、おせっかいの道化め、
さらばだ。お前の主人と間違えた。
これがお前の運命だ。」というが、
怒りの発作…
王だと思っていたわけはないはずだ。
間違えたというか、
逆上していた。
頭に血が上っていたのだ…。

この後も激しく言葉の短剣を振るう。

そのとき、寝間着姿の亡霊が出て、
母に優しい言葉をかけてやれという。
ガートルードにはなぜか亡霊は見えない。

又、亡霊が言う「見ろ、母を染める驚愕の色」…
ここらへんは疑問だ。

とにかく、
ハムレットには母の方が大きな問題なのだが、
亡霊の方には、敵は妻ではなくて弟だけ。

悪い方を捨て去り残り、半分で生きてください。
第3幕第4場


ああ、もう言わないで。
お前の言葉は短剣のようにこの耳に突き刺さる。
やめて、ハムレット。
(中略)
こんな善人ぶった口をきいてごめんなさい。
この息切れしたいやらしい時代には、
美徳が悪徳に許しを乞わねばならない。

ああ、ハムレット、お前は私の心を真っ二つに引き裂いた。
悪いほうを捨て去り、残り半分で清らかに生きてください


この人(ポローニアス)のことは後悔しています。
しかしこれも天の御心、
こうして私を罰し、私を使ってこの男を罰したもうた。
死体を片付け、殺した責任は負いましょう。



逆上で暗転していくのだが…
ここで、すっかり腹をくくっているようだ…

私はイングランドに行かねばなりません。
(中略)
この男のおかげで、急いでいくことになった。
まったく、この大臣は生きていたときは、
馬鹿なおしゃべりだったが、
ようやく実に静かで、実に口が堅く、実に厳かになった。
さぁ、行こう。お前と一緒に、幕切れへ。


シェークスピアの額のおまけ

だいぶ後退していたんでしょうか(^o^;)