シェークスピアを愉しむ(ROMEO&JULIET)


ああ、あの人は
松明に明るい輝き方を教えている

第一幕第五場
Act 1, Scene 5 . A hall in Capulet's house.

ROMEO
[To a Servingman]
What lady is that, which doth
enrich the hand
Of yonder knight?

Servant
I know not, sir.

ROMEO
O, she doth teach the torches to burn bright!
It seems she hangs upon the cheek of night
Like a rich jewel in an Ethiope's ear;
Beauty too rich for use, for earth too dear!
So shows a snowy dove trooping with crows,
As yonder lady o'er her fellows shows.
The measure done, I'll watch her place of stand,
And, touching hers, make blessed my rude hand.
Did my heart love till now? forswear it, sight!
For I ne'er saw true beauty till this night.


あの人は松明に美しい輝き方を教えているようだ。
夜のほほに垂れ下がるあの姿は、まるで
黒人娘の耳に垂れ下がる美しい宝石。
日々の用には貴重すぎ、この世には高価すぎる美しさ。
あの人が友達の中にあってひときわ輝くさまは、
雪と見まごう白鳩が烏の群れにたちまじるおもむきだ。
踊りが終わったらあの人の行くところを見きわめよう、
あの人の手に触れてこの粗末な手に祝福を与えよう。
この心が恋をしたことがあるか。ないと誓え、目よ。
今夜このときまでまことの美を見ていなかったのだから。

小田島雄志訳
ああ、松明に明るく燃えるすべを教えている!
黒人の耳を飾る豪華な宝石のように
夜の頬を飾っている。
使うには恐れ多く、この世のものとは思えない貴い美しさ。
まわりの女たちに立ち混じる姿は
まるでカラスの群れの中に舞い降りた純白の鳩だ。
踊りが終わったら、あの人の行く手を見逃さず
あの手に触れ、この卑しい手に祝福を与えてもらおう。
俺の心は今まで恋をしたことがあっただろうか?
目よ、ないといえ!
今夜までまことの美しさを見たことはなかったのだから。
松岡和子訳



ああ、あの人は松明に明るい輝き方を教えている!
夜のくすんだ頬を染め、揺れて輝くそのさまは、
黒人娘の耳にきらめく豪華な宝石。
しまっておきたい美しさ、この世のものとも思われぬ。
他の女に囲まれて、あの人だけが光るのは
あたかも烏(からす)の群れにただ一羽、雪と降り立つ白い鳩。
踊りが終わるそのときに、どこに行くのか見ていよう。
あの手に触れて、卑しいこの手を清めてもらおう。
今までに恋をしたのか、この心?この目よ、誓え、しなかったと。
真(まこと)の美女を、今宵まで、目にしたことはなかったと。
河合祥一郎訳

英雄詩体二行連句



第一幕第二場




ROMEO
[To JULIET]
If I profane with my unworthiest hand
This holy shrine, the gentle fine is this:
My lips, two blushing pilgrims, ready stand
To smooth that rough touch with a tender kiss.

JULIET
Good pilgrim, you do wrong your hand too much,
Which mannerly devotion shows in this;
For saints have hands that pilgrims' hands do touch,
And palm to palm is holy palmers' kiss.

ROMEO
Have not saints lips, and holy palmers too?

JULIET
Ay, pilgrim, lips that they must use in prayer.

ROMEO
O, then, dear saint, let lips do what hands do;
They pray, grant thou, lest faith turn to despair.

JULIET
Saints do not move, though grant for prayers' sake.

ROMEO
Then move not, while my prayer's effect I take.


Thus from my lips, by yours, my sin is purged.

JULIET
Then have my lips the sin that they have took.

ROMEO
Sin from thy lips? O trespass sweetly urged!
Give me my sin again.


JULIET
You kiss by the book.

口づけの儀式のよう。
小田島雄志訳
キスの儀式みたいね
河合祥一郎訳

お作法どおりのキスね。

松岡和子訳



「巡礼はエルサレムに巡礼した記念に
棕櫚 palmの葉や枝を持ち帰ったため、
palmerとよばれた。
これを掌のpalmにかけて
ジュリエットは言葉遊びをしている。」
河合祥一郎


出会って14行のくどき文句でキスするには?
というのが
河合祥一郎さんの「『ロミオとジュリエット』恋に落おちる演劇術」の
3番目のテーマでした。
おもしろい。
そのテクニックとは、
「ソネット形式の美しい詩を歌うことだった」
ソネットの押韻(ライム)=abab cdcd efef gg と表記する。
一番大切なところで、わざとリズムをハズしてみせる。
基本リズムは弱強5歩格(アイアンビック・ペンタミター)
それを
O, then, dear saint, let lips do what hands do;
行末が弱で終わる=女性行末(フェミニン・エンディング)
悩み、嘆き、穏やかさなどを序表現するために使われる。
そのあと、「動かないで」(move not)と強く決めつける感じになっている。
Then move not, while my prayer's effect I take.


「やさしくしておいて、急き立て、最後に有無を言わせない」
これぞテクニックだそうだ
あはは(^o^;) 
なお、 ジュリエットはロミオを「巡礼さん」と呼ぶが、
「巡礼には恋人という意味がある」と言う…





JULIET
My only love sprung from my only hate!
Too early seen unknown, and known too late!
Prodigious birth of love it is to me,
That I must love a loathed enemy.


たった一つの私の恋が、憎い人から生まれるなんて。
知らずに逢うのが早すぎて、知ったときにはもう遅い。
憎らしい敵がなぜに慕わしい。
恋の芽生えが、恨めしい。
河合祥一郎訳
ROMEO
Is she a Capulet?
O dear account! my life is my foe's debt.


あの子はキャピュレット!
なんと言う高いつけだ。わが命は敵(かたき)に払う借金か。



おまけ
VeronaCasa di Giulietta
ジュリエットの家とよばれるいもの@イタリア


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ユネスコ世界遺産
http://www2t.biglobe.ne.jp/~provence/main-gate/voyage4/verona.html
http://www.fujiso.com/ve01hp/ve01.html
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