シェークスピアの劇的独白を愉しむ





INTERMISSION.


人の書いたあらすじを読むと、気に食わない。
いっそ10秒という、コレが親切というものです(。・-・。)フフ
シェイクスピアをぶっとばせ!〜10秒で読めるあらすじ編〜
シェークスピアの小窓
しかし、「父親が殺され」というのが、いきなりいけない。
殺されたといってしまっていいのか、
少なくとも、デンマークの臣民はそんなことは知らされていない。
知っていたら、話は別になる。
オフィーリアを愛しているか、ハムレットもわかっていない。
ガートルードがクローディアスのしたことを何も知らなかったとも、
わからない。

う〜〜〜〜。(イライラ)

そういうわけで、いろいろな作家も書いてしまう。
たとえば、
アップダイク John Updike「ガートルードとクローディアス」

端役で映画も作ってしまう。
「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ 」

日本では、まず
小説の神様 志賀直哉(1883-1971)が先鞭をつける。
「クローディアスの日記」(1913『留守』所収)

大岡昇平「ハムレット日記」(1955〜1980年)
福田恒存(1912年 - 1994年)「ホレイショー日記」(全集第八卷.)
太宰治「新ハムレット」(1941年)
小林秀雄の「おふえりあ遺文」(1931年)

… 今度河合祥一郎さん(坪内逍遥の「末裔」という!?)を読みながら、
第2幕に入ったところで強烈に
小林秀雄の「Xへの手紙」の文体を思い出しました。
ローゼンクランツとギルデンスターンなどの、「友人」が出てくるところです。
あらすじをそこまで苦労しながらたどってみます。
とにかく、「10秒」にならうと、

デンマーク王の父親が急死した直後(2ヶ月後)、
母ガートルード王妃は父の弟クローディアス王と再婚し、
ハムレットは女性不信・人間不信に死を思うほど悩んでいる。
甲冑姿の父そっくりの亡霊があらわれ、叔父・現王に毒殺された、
復讐せよと命じられる。
ハムレットは狂ったフリをした方がよいと思いそうする。
ハムレットのこの様変わりの原因を探らせるため、
クローディアスは幼友達で(しかして臣下でもある)同じ大学に通う
ローゼンクランツとギルデンスターンを呼び寄せる。
兄と父にハムレット王子の愛を信じるなといわれて、
命令に従うという オフィーリア。
兄レアティーズと 父のポローニアス大臣(クロディアス王の腹心)の一家には
母がいないのかどうか不明。いないとしたらその理由も不明。

ありゃ、10秒??あはは(^o^;) 

今日は、小林秀雄の「Xへの手紙」を思い出した箇所を。
明らかにシェークスピアにインスパイアされていたのですね。
小林秀雄は20代後半でしたね。 今日はちょっとこんなところで…また明日



Act 2, Scene 2 A room in the castle.


HAMLET
I will tell you why; so shall my anticipation
prevent your discovery, and your secrecy to the king
and queen moult no feather. I have of late--but
wherefore I know not--lost all my mirth, forgone all
custom of exercises; and indeed it goes so heavily
with my disposition that this goodly frame, the
earth, seems to me a sterile promontory, this most
excellent canopy, the air, look you, this brave
o'erhanging firmament, this majestical roof fretted
with golden fire, why, it appears no other thing to
me than a foul and pestilent congregation of vapours.
What a piece of work is a man! how noble in reason!
how infinite in faculty! in form and moving how
express and admirable! in action how like an angel!
in apprehension how like a god! the beauty of the
world! the paragon of animals! And yet, to me,
what is this quintessence of dust? man delights not
me: no, nor woman neither, though by your smiling
you seem to say so.



人間はなんとすばらしい自然の傑作だろう。
その理性の気高さ、
能力の限りなさ、形と動きの適切さ、すばらしさ、
行動は天使さながら、理解力は神さながら、
この世の美の真髄、動物の鑑ー
しかし俺にとっては、何の意味もない塵の塊にしか思えない。
人間を見ても楽しくないーそう、女でもだ。
第2幕2場
河合祥一郎訳


おまけ
A Globe Shakespeare Encyclopedia
シェイクスピア大事典
たしかに読みではあるのですが、
「シェークスピアの英語と名句」で
HAMLETの台詞として取り上げられているのは6つだけ。
そのうちふたつはポローニアスの説教
それと第1、2独白、ホレイショーへの言葉二つでした。