シェークスピアの劇的独白を愉しむ




愛の火花を支配するものは常に時なのだ
第4幕第7場


Act 4, Scene 7 Another room in the castle.



KING CLAUDIUS
Not that I think you did not love your father;
But that I know love is begun by time;
And that I see, in passages of proof,
Time qualifies the spark and fire of it.
There lives within the very flame of love
A kind of wick or snuff that will abate it;
And nothing is at a like goodness still;
For goodness, growing to a plurisy,
Dies in his own too much: that we would do
We should do when we would; for this 'would' changes
And hath abatements and delays as many
As there are tongues, are hands, are accidents;
And then this 'should' is like a spendthrift sigh,
That hurts by easing. But, to the quick o' the ulcer:--
Hamlet comes back: what would you undertake,
To show yourself your father's son in deed
More than in words?


お前が父親を愛していなかったと言うのではない、
だが愛が生まれるには時というものがある。
わしも今までさまざまな例を見てきたが、
愛の火花を支配するものは常に時なのだ
愛の炎の中には一種の燈芯のようなものがあって、
それがやがて火勢を衰えさせもする。なにごとも
最善の状態を永久に維持することはできぬ。
ほうっておけば度を越えてあふれ出し、ついには
ついには自らの過剰に溺れ死ぬ。やりたいとおもうことは
思ったときにやるべきだ、この「やりたい」という気持ちは、
人の話を聞くたび、邪魔が入るたびに、気勢をそがれ
気後れするもの
、したがってこの「やるべき」という立派な考えも、
命をすり減らす溜息のようなもの、気休めにはなるが身をそこなう。
そこで肝心の話だーハムレットが帰ってくる、お前は何をやりたい?
父の子としての勤めを言葉ではない行為で示さねばなるまい。

小田島雄志訳

第4幕第7場



お前が父親を愛していなかったというのではない。
だが、その愛が芽生えたのも時の運なら、
愛の火花や炎を衰えさせるのも時の運だということを

私はいろいろな実例から知っている。
ハムレットが戻ってくる。お前はどうするつもりだ、
本当に父の息子であると、身をもって証明するために?

(ここはfolioではこれだけ)
河合祥一郎訳



これがクローディアスの台詞なんだから困ってしまうね。

この後の

ヤツ(ハムレット)は人がよくて、鷹揚で、
卑怯な策など思いつかぬから、
剣先など検(あらた)めまい、それゆえ、容易にー
あるいはちょっとごまかせばーおまえは
先止めのない間を選び、まんまと父の恨みの一撃を
お見舞いできるのだ。
…と続く…


さらに、そのあと、ガートルードが入ってきて、
オフィーリア溺死の報告です


ローレンス・オリヴィエのHAMLETでは
ジーン・シモンズがこの絵のように川を流れていきましたが、

ケネス・ブラナーでは川はなかった。
水中のカットバックが入ったかな?
どうしても、この絵のイメージには負けるから、?
やめたのかな?

困ったことに、メル・ギブソンのHAMLETのは記憶にない。
ガートルードのグレン・グロースがしゃべっている以外…


額が後退していないシェークスピア?おまけ


DELさんによるハゲレット の情報あはは(^o^;) 
いやぁ悩ましい??

2002年の夏に青さんからシェークスピアのモニュメント
@Holy Trinity Church,Stratford-Upon-Avon
の絵葉書写真をもらっているのですが、
もったいな、後でスキャンして出してきます。
(もう少し太目で禿頭)