西洋古典文学を読む・・

ゲーテ Goethe-イタリア紀行を読む

大ゲーテでなくポニーテイルのゲーテ


Johann Wolfgang von Goethe,(1749-1832)
painted with oil by Friedrich Durck
1828 Weimar, Goethe-Nationalmuseum

37歳のゲーテは、1786年9月から1788年、約2年にわたりイタリアへ、30年後に(1816-17)旅行記(Italienische Reise)としてまとめた。
この日本の訳本の表紙にあるのは、 Wikipediaにもあるゲーテ70歳の時の肖像(1828年)。
でも・・私がここで思い浮かべるのは、 「大ゲーテ」でなく、ポニーテールのもうちょっと若いゲーテ…
下の、 ティッシュバイン画 イタリアのゲーテ (1786年/1787年)をもっとにこやかに開豁にさせて、
2010年のドイツの伝記的映画「ゲーテの恋」(Wikipedia)のゲーテのエモーショナルなところも足して、
生き生きと活動的なゲーテ・・(笑)

カンパニアのゲーテ


ローマ近郊におけるゲーテの肖像(ヨハン・ハインリヒ・ヴィルヘルム・ティシュバイン(1751-1829)画)

2010年3月26日大塚国際美術館にて
( この美術館は絵の大きさがわかるだけでもすごい、 感謝すべきと美術館と思いますね )

こちらは楽天で見る、アンディ・ウォホール画ゲーテ
ちょっと髪型が違うようだ。
(原画は、ローマのゲーテの家にあるようだ)

コルソ通り探訪騎のあるブログを覗く・・1.http://ameblo.jp/romanoheijitsu/entry-10249594643.html 2.http://yaplog.jp/shii-nakajima/archive/840

イタリア紀行

ゲーテ全集 潮出版社

われもまたアルカディアに!

高木 久雄(たかぎ ひさお、1924年10月14日 - 2014年8月31日)訳

以下は2015年に見た、ゲーテのイタリアへの旅の出だしのあたりです。
なぜ旅に出たのか・・・

Goethe, Georg Oswald May,1779

カールスバートからブレンナー峠へ


1786年9月3日

朝の三時に、こっそりとカールスバートを発った。 旅行鞄と毛皮つき背嚢を一つにまとめて荷づくりしただけで、たった一人郵便馬車に飛び乗り、七時半ツヴァータに着いた。美しい静かな霧の朝だった。(p7)

 

地理に明るくないので、 カールスバートもブレンナー峠も検索しつつ読みます 

http://de.wikipedia.org/wiki/Karlsbad   

http://de.wikipedia.org/wiki/Brennerpass

まず、北緯50度から49度へ

カールスバート

Karlsbad-Goethedenkmal 

Karlovy Vary is a city situated in western Bohemia, Czech Republi 

カールスバートは世界的に有名な温泉地で、草津温泉と姉妹都市!? 

ゲーテの像があるようだが、ベートーベンのものほど扱いが大きくないようだ・・ マルクスのように全身像でもなく胸像

9月3日

シュヴァーネンドルフ、レーゲンシュタウフ、ティルシェンロイト、ドナウ川 ランチはエーガーで、バイエルンBayern のヴァルトザッセン修道院、夜はレーゲンスブルク


ある奇妙な石がここでは建築用材として加工されている。(中略)この石片は非常に参考になるもので大いに食指が動いたが、石があまりに堅すぎたし、この旅行では石を引きずっていくことはしまいと心に誓った。(p9)

そんなことを言っているけど(笑)Wikipediaには1万9千個も いわゆる「 石ころ」を溜め込んだ(笑)

追記:「ゲーテは20代半ばのころ、ワイマール公国の顧問官としてイルメナウ鉱山を視察したことから鉱山学、地質学を学び、イタリア滞在中を含め生涯にわたって各地の石を蒐集しており、そのコレクションは1万9000点にも及んでいる。なお針鉄鉱の英名「ゲータイト(goethite)」はゲーテに名にちなむものであり、ゲーテと親交のあった鉱物学者によって1806年に名づけられた。」(wikipedia20170129閲覧)

9月6日

 

9月5日昼12時半にレーゲンスブルクを出て翌朝6時にミュンヒェンに到着。12時間見物

北緯48度

絵画館では親しめるような気分になれなかった。

無花果売りの女にあったが初物でとびきり美味であった。(p10)

 

9月7日

 

9月7日5時にミュンヒェンを出発。一路インスブルックへ。チロルの山々には雲が巨大な塊をなしてかかっていた。

周囲の絶壁はすべて石灰で、まだ化石を含まない最古のものだ。
この石灰の連山は、石英と粘土の多い原始山脈とか重なりあっている。

ヴァルヒェンゼーには4時半についた。この村から1時間ばかりのところで、ある愉快な事件に出くわした。11になる娘を連れて先を歩いていた竪琴弾きが、その子を馬に乗せてくれるようにぼくに頼んだ。 (p11)

 

9月8日 ブレンナー峠にて

 

ついに一つの休止点に、願ってもないような静かな場所に着いた。

それは何年もの間、思い出の中で楽しむことのできるような 日であった。

これまではベネディクトボイエルン以来、高地から高地への登り道で、水流はすべてイーザル河の流域へと向かっていたが、今では一つの峰越しにイン河の谷が見え、インツィリンゲンは眼前に横たわる。(p12)

インスブルックに登るにつれて景色はますます美しくなり叙述するすべもないほどだ。(p13)

わが友人たちは、このさすらいの天気観測者とその奇妙な学説に微笑を浮かべられたことと思うが、ぼくは更にニ、三の考察によって彼らに哄笑の機会を提出することになろう。というのは、白状すると、ぼくの旅行はもともと北緯51度で受けたあらゆる気候の厳しさからの逃走だったのだが、48度のもとではまことのゴーゼン(※)に足を踏み入れられるものと希望を抱いていたわけだ。ところが、あらかじめ分かっていなければならなかったことではあるが、期待は見事に裏切られた。というのは気候や天気をつくるのは、ただ緯度だけではなく、山脈、特に東西に国土を横断するあの山脈なのだから。

※古代エジプトの地名。ヨセフ一族にエジプト王から与えられた洛土。(訳注)

林檎と梨はすでにインスブルックに来るまでの谷間でもよく見かけるが、桃とぶどうはイタリアか、あるいはむしろ南部のチロルから運ばれてくる。インスブルック周辺にはトウモロコシやそばを多く作っているが、それをブレンデと呼んでいる。ブレンナー峠を登るとき、初めてカラマツの木を、シェーンベルクの近くでは最初のシモフリ松を見た。(P15)

 

ブレンナー峠


Brennerpass from north.JPG
"Brennerpass from north" by Haneburger - 投稿者自身による作品. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

 

9月8日

 

植物に関してはまだ多くを学ばねばならぬことを感じる。ミュンヒェンまでは、事実ただありふれたものしか見ないように思った。
なるほどリンネの本を携えていて述語は覚え込んでいたが、分析のための時間や落ち着きをどうして得られようか?(p15)

※リンネ(1707-1778)

ぼくの注意を引いたのは、山の高さが植物に影響を及ぼすらしいという点であった。たんに新しい植物をそこに発見しただけではなく、その成長のしかたが変化しているのだ。(p16)

Goethe, Georg Oswald May,1779

ブレンナー峠からヴェローナまで


1786年9月11日

まる50時間も動き続け忙しく立ち回った後、10日8時にこの地(トレント)に到着。(p20)

ぼくには書物も絵画も与えてくれない、生のままの印象が大切なのだ

ここではもうすべてが力と生気とを増してきているし、太陽は日差しも厚く、再び神を信ずる気持になれるというものだ。

ぼくらが永遠の自然的必然として常に享受してしかるべきはずのこの喜びを、異例のこととして感じたいのだ。(p21)

1786年9月12日

北緯45度

1786年9月13日

今暁3時に二人の船頭とともにトレボーレを出発した。
素晴らしい朝だった。ひな段式機にレモンの樹を植えつけたリモーネの山の果樹園は、見るからに豊かできれいな眺めである。

なぜ旅にでたのか

ゲーテはリンネの本を携えて、イタリアの植物(や鉱物)を観察して書いている
ぼくには書物も絵画も与えてくれない、生のままの印象が大切なのだ


ここまでで~~休憩~~

20150514

ゲーテの町、ヴァイマール https://www.ab-road.net/europe/germany/weimar/guide/06059.html

再開 (2年の後)

20170129

ゲーテの「イタリア紀行」をお供の気分で、イタリアへ行こうと思ったのは2015年の春であったが、家庭の事情で中断・・
ここまでの2年後となったが、ゲーテがイタリア国内に入ってからを、続けます。

 

以下は 「ゲーテのイタリア(2)」へ続く

BOOK(ゲーテの帰国直後の著)

ゲーテ形態学論集・植物篇 (ちくま学芸文庫)
著:ヨハン・ヴォルフガング・フォン ゲーテ、Johann Wolfgang von Goethe、
訳:木村 直司 (2009/3/10刊)

以下は全てMY断片:
言葉言葉言葉: von/2013/20130317.htmlゲーテの言葉
karakusamon.com/2015k/sinwa_bi2.htmlゲーテとギリシア神話 (唐草図鑑)
karakusamon.com/2014k/italy_furudera.htmlロマネスク (唐草図鑑)

BOOK(ゲーテの紀行をお供に)

イタリア建築紀行: ゲーテと旅する7つの都市 渡辺 真弓 (著)平凡社2015/3/27  

イタリア紀行 (岩波文庫 赤 405-9)ゲーテ (著), 相良 守峯 (翻訳)