2022アドベントカレンダー

20221222

日本の兎図絵

来たる2023年の干支の兎尽くし中です。
図のない 井本英一著『十二支動物の話』を参考に、シンボルとしての兎を、WEB検索やイメージ図典で補って見てきました。ここからは絵画をメインにみます。

me まず、日本の兎の絵・図の総めくり・・
浮世絵や鳥獣戯画はすでに見ました。他に、
室町時代の 雪舟、雪村、江戸初期の俵屋宗達の墨絵を見たが、兎絵は見当たらなかった。
しかし、大場磐雄「十二支のはなし」 (ニュー・サイエンス社1980/12/1刊)には、 雪村の「鷹と兎図」、俵屋宗達の「白兎図」「兎と桔梗図」という紹介がある。(p68)

家の兎紋や民具の兎鈴は素晴らしい。

雪舟 1420‐1506(wikipedia)涙で書いたのは鼠
雪村 ca1429-1589(wikipedia) 作品はやはりアメリカに流出

上代の兎図絵

中宮寺の兎図(6世紀)

Tenjyukoku embroidery
Fragments of tapestry, Embroideries comprized of Original 6th century work and 13th centuiry replica, silk, 88.8x81.8cm, Chuguji Temple, Nara, JAPAN
天寿国曼荼羅繍帳 
飛鳥時代の刺繍断片と 鎌倉時代の複製刺繍断片の貼り混ぜ 88.8x81.8cm. 中宮寺, 奈良
(wikipedia)天寿国繡帳(てんじゅこくしゅうちょう)

奈良県の藤ノ木古墳出土の鞍金具しずわに、パルメットと共に兎や象や獅子が描かれている。6世紀の日本や東アジアでは、兎が瑞獸の一つに数えられたと考えられる.
出典:井本英一著『十二支動物の話』p214

me上記の図を探したが、兎をはっきり確認できなかった。

奈良県の歴史文化資源データベースに、金具の亀甲鞍文は鬼面、象、兎などが浮き彫りされているとの一言はありました。 文化遺産オンライン

画像検索
・藤ノ木古墳の全貌展: ホシガラスさんの「忘れへんうちに」
・藤ノ木古墳石室の特別公開と「斑鳩文化財センター」:
てつわんこさんのブログhttps://jumgon.exblog.jp/

法隆寺の玉虫厨子の須弥山図(7世紀)


D:月に兎
参考https://www.jstage.jst.go.jp
玉虫厨子装画について pdf(小山清男)

 me兎の図絵は、今まで見た鳥獣戯画や浮世絵の他はほぼ見当たらなかったので、文様事典を参照します。

中国には月に住む兎の伝説があり、日本でも古くは天寿国繍帳に描かれたが、文様としては定着しなかった。
兎の文様が盛んに現れるのは桃山時代以降で、豪商の角倉了以愛用の「花兎金蘭」の文様のほか、この時代は異常に長く描かれた「波兎」が大流行する。
江戸中期には様々な動物や人、モノなどとの組み合わせが生まれる。
『日本・中国の文様事典 』p120
(みみずくアートシリーズ)  早坂 優子 視覚デザイン研究所 2000刊

角倉 了以(すみのくら りょうい、1554〈天文23年〉 - 1614(慶長19年〉)、
戦国時代から江戸時代初期にかけての京都の豪商。(wikipedia)

はなうさぎ 花兎

花兎金蘭:名物裂(ぎれ)の一つ。花樹の下に兎、その足元に土坡(どは)をあしらった単位文様を互(ぐ)の目に織り出した金襴。
代表的な作例に「角倉(すみのくら)」があり、これは濃い萌黄(もえぎ)色の綾(あや)地に4㎝×3㎝程度のやや大きめの単位文様が洗練された端正な趣(おもむき)で織り出され、金糸の色にも品格がある。桃山時代の茶人角倉了以の愛用裂と伝えて、この名で親しまれている。このほか、花頭形(アーチ形)の中に花兎を収めた金地の金襴、繻子(しゅす)地合いのよろけ縞(じま)に花兎を織り出した「紹智(じょうち)金襴」などが著名である。
コトバンク[小笠原小枝] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

なみうさぎ 波兎

「月海上に浮かんでは、兎も波を走るか~」という謡曲の句をテーマに意匠化され大流行した。
出典:『日本・中国の文様事典 』p121

波兎を走る:① (白く流れ飛んで見えるところから) 月影が水面に映っているさまのたとえ。また、船足などのはやいたとえ。② (兎は象や馬に比べ、水にはいる度合の少ないところから) 仏教の悟りにおいて浅い段階にとどまっている人のたとえ。声聞(しょうもん)の人。〔俚言集覧(1797頃)〕
コトバンク出典 精選版 日本国語大辞典

まむきうさぎ 真向兎

みつうさぎ 三つ兎
→参照 12/7三羽の兎

つきにうさぎ 月に兎
→参照 12/16 月の兎

染付月兎文様
「月に兎」は中国明末の陶磁器に描かれた文様で、伊万里の陶工によって盛んに写された。
出典:『日本・中国の文様事典 』p121

とくさうさぎ 木賊兎
→参照 1 2/10 江戸の浮世絵

兎の家紋








me改めて日本のデザインセンスの凄さを感じられた。

雪兎 


〘名〙 盆などの上に、雪を丸めて兎の形をつくり、譲葉(ゆずりは)を耳とし、南天の赤い実を目としたもの。《季・冬》 ※俳諧・類題発句集(1774)冬「撫てる間に痩が付うぞ雪兎〈沂風〉」(コトバンク

徒然草の名句(229段)

よき細工は、少し鈍き刀を使ふと言ふ。妙観が刀はいたく立たず。

meよくわからない言葉である。 ”最もよく切れる鑿は、科学の成果がもたらした正確な諸観念に違いなかろうが、それはあんまり切れ過ぎるかもしれぬ。 切れ過ぎるとはまるで切れないことかも知れぬ。 要するに、あらゆる種類の言葉という道具の性質に精通しなければならぬ、彫刻家が鑿という道具に精通するように。”(小林秀雄『私の人生観』)

"物が見えすぎる眼をいかに御したらいいか、これが徒然草の文体の精髄である。"(小林秀雄『無常という事』「徒然草』)
そこまでほめるんですよね。

では、また明日~~~

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