来たる2023年の干支の兎尽くし中です。
図のない 井本英一著『十二支動物の話』を参考に、シンボルとしての兎を、WEB検索やイメージ図典で補って見てきました。ここからは絵画をメインにみます。
まず、日本の兎の絵・図の総めくり・・
浮世絵や鳥獣戯画はすでに見ました。他に、
室町時代の
雪舟、雪村、江戸初期の俵屋宗達の墨絵を見たが、兎絵は見当たらなかった。
しかし、大場磐雄「十二支のはなし」 (ニュー・サイエンス社1980/12/1刊)には、
雪村の「鷹と兎図」、俵屋宗達の「白兎図」「兎と桔梗図」という紹介がある。(p68)
家の兎紋や民具の兎鈴は素晴らしい。
雪舟 1420‐1506(wikipedia)涙で書いたのは鼠
雪村 ca1429-1589(wikipedia) 作品はやはりアメリカに流出
奈良県の藤ノ木古墳出土の鞍金具しずわに、パルメットと共に兎や象や獅子が描かれている。6世紀の日本や東アジアでは、兎が瑞獸の一つに数えられたと考えられる.
出典:井本英一著『十二支動物の話』p214
上記の図を探したが、兎をはっきり確認できなかった。
奈良県の歴史文化資源データベースに、金具の亀甲鞍文は鬼面、象、兎などが浮き彫りされているとの一言はありました。 文化遺産オンライン
画像検索
・藤ノ木古墳の全貌展: ホシガラスさんの「忘れへんうちに」
・藤ノ木古墳石室の特別公開と「斑鳩文化財センター」:
てつわんこさんのブログhttps://jumgon.exblog.jp/
兎の図絵は、今まで見た鳥獣戯画や浮世絵の他はほぼ見当たらなかったので、文様事典を参照します。
中国には月に住む兎の伝説があり、日本でも古くは天寿国繍帳に描かれたが、文様としては定着しなかった。
兎の文様が盛んに現れるのは桃山時代以降で、豪商の角倉了以愛用の「花兎金蘭」の文様のほか、この時代は異常に長く描かれた「波兎」が大流行する。
江戸中期には様々な動物や人、モノなどとの組み合わせが生まれる。
『日本・中国の文様事典 』p120
(みみずくアートシリーズ) 早坂 優子 視覚デザイン研究所 2000刊
角倉 了以(すみのくら りょうい、1554〈天文23年〉 - 1614(慶長19年〉)、
戦国時代から江戸時代初期にかけての京都の豪商。(wikipedia)
はなうさぎ 花兎
花兎金蘭:名物裂(ぎれ)の一つ。花樹の下に兎、その足元に土坡(どは)をあしらった単位文様を互(ぐ)の目に織り出した金襴。
代表的な作例に「角倉(すみのくら)」があり、これは濃い萌黄(もえぎ)色の綾(あや)地に4㎝×3㎝程度のやや大きめの単位文様が洗練された端正な趣(おもむき)で織り出され、金糸の色にも品格がある。桃山時代の茶人角倉了以の愛用裂と伝えて、この名で親しまれている。このほか、花頭形(アーチ形)の中に花兎を収めた金地の金襴、繻子(しゅす)地合いのよろけ縞(じま)に花兎を織り出した「紹智(じょうち)金襴」などが著名である。
コトバンク[小笠原小枝]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
なみうさぎ 波兎
「月海上に浮かんでは、兎も波を走るか~」という謡曲の句をテーマに意匠化され大流行した。
出典:『日本・中国の文様事典 』p121
波兎を走る:① (白く流れ飛んで見えるところから) 月影が水面に映っているさまのたとえ。また、船足などのはやいたとえ。② (兎は象や馬に比べ、水にはいる度合の少ないところから) 仏教の悟りにおいて浅い段階にとどまっている人のたとえ。声聞(しょうもん)の人。〔俚言集覧(1797頃)〕
コトバンク出典 精選版 日本国語大辞典
まむきうさぎ 真向兎
みつうさぎ 三つ兎
→参照 12/7三羽の兎
つきにうさぎ 月に兎
→参照 12/16 月の兎
染付月兎文様
「月に兎」は中国明末の陶磁器に描かれた文様で、伊万里の陶工によって盛んに写された。
出典:『日本・中国の文様事典 』p121
とくさうさぎ 木賊兎
→参照 1 2/10 江戸の浮世絵
改めて日本のデザインセンスの凄さを感じられた。
〘名〙 盆などの上に、雪を丸めて兎の形をつくり、譲葉(ゆずりは)を耳とし、南天の赤い実を目としたもの。《季・冬》 ※俳諧・類題発句集(1774)冬「撫てる間に痩が付うぞ雪兎〈沂風〉」(コトバンク)
よき細工は、少し鈍き刀を使ふと言ふ。妙観が刀はいたく立たず。
よくわからない言葉である。 ”最もよく切れる鑿は、科学の成果がもたらした正確な諸観念に違いなかろうが、それはあんまり切れ過ぎるかもしれぬ。 切れ過ぎるとはまるで切れないことかも知れぬ。 要するに、あらゆる種類の言葉という道具の性質に精通しなければならぬ、彫刻家が鑿という道具に精通するように。”(小林秀雄『私の人生観』)
"物が見えすぎる眼をいかに御したらいいか、これが徒然草の文体の精髄である。"(小林秀雄『無常という事』「徒然草』)
そこまでほめるんですよね。
では、また明日~~~