古代の神々と女神

2012年 マリア・ギンブタスを読む


「悲しみにくれる神(もしくは考える人)」(写真251)
モルダヴィア ティルペシュティ 出土前5千年紀中葉


2012年 マリア・ギンブタスを読む
『古ヨーロッパの神々(と女神)』
The Goddesses and Gods of Old Europe
(1974:邦訳「古ヨーロッパの神々」鶴岡 真弓訳)
マリア・ギンブタス(Marija Gimbutas、1921- 1994)
Wikipediaにある紹介は

彼女は、古ヨーロッパの社会・文化は女神を崇拝する母系的なものであったが、青銅器時代に父権的なインド・ヨーロッパ語族文化により征服された、と考えた。彼女の考えによれば、古ヨーロッパは平和であったが、インド・ヨーロッパ系のクルガン人は父権的戦士階級制度を押し付けた、ということになる。ただし、女神崇拝は疑問視されており、古ヨーロッパも決して平和な社会ではなかったとの指摘など、彼女の主張に対しては批判も多い。

・・とあるが、読んでみないと始まらないので、読み始める。2012-01-08

※ アマゾンを見ると、「2011/10/27にこの商品を注文しました」と出てきます。ちょっとほったらかし?・では気を引き締めて・・σ(^^ゞ
*新石器時代のヨーロッパククテニ文化(英語:Cucuteni culture)
表紙の図像はちょっと心理的に挙げづらいですが、学術的なものなので、お断りしておきたい。
目次読書

改訂版への序文
「前2500年以降、古ヨーロッパとインド=ヨーロッパという二つの神話体系の混合が進んだのである」(p2)
以下続く・・・・
日本語版への序文(1987年)
ヨーロッパの新石器・金石過渡(併用)時代は、インド=ヨーロッパ時代とキリスト教時代よりもはるかに長い一大エポックを形成した。その時代には様々な文化が、豊かな象徴体系のもとに統合されており、その象徴体系は後々まで強い影響を及ぼし今日に至っている。
研究の焦点は今からおよそ8000-9000年前の初期の農耕時代。
7千年紀から5千年紀の新石器時代の農耕民は、彼らの祖先である旧石器時代人の文化をひきついで、アナトリアやメソポタミア、シリア―パレスチナにおこった文明の発展に平行しながら、独自の文化パターンを形成した。
この最初期の文明に<古ヨーロッパ>という名称を与えた。
女神崇拝の宗教は、慣習を守り互いに親密な関係を保つ母系的集落の生活を反映させている。
(p4) 以下続く・・・・

以下目次 (Sun, 2012-01-29)

目次

序章

放射線炭素とl年輪年代学による年代測定法/編年法

第1章 文化的背景

<古ヨーロッパ文明>の定義と意味
<古ヨーロッパ>の地域区分と年代区分
1.エーゲ海・中央バルカン 2.アドリア海地方 3.ドナウ川中流域 4・東バルカン 5.モルダヴィアー西ウクライナ

第2章 図式主義(スキーマティズム)

造形表現における<速記> 芸術家にとっての実在
自然主義的形態へ傾斜する彫像

第3章 儀礼の衣装

意匠と装身具を表す装飾的モティーフ
腰帯
女性の衣装
男性の衣装
履物
髪型と帽子
結語

第4章 仮面

人面ならざる顔
ヴィンチャの仮面
ヴィンチャの仮面の発展
仮面飾り
クレタおよび古代ギリシアの仮面とその演劇性

第5章 祭殿と小像の役割

粘土製の祭殿模型
聖域と供犠の場所
ミノア=ミュケナイの祭殿
祭殿の付属物と儀礼用具
刻印のある奉納物ー小像・容器・紡錘車
結語

第6章 宇宙生成論(コスモゴニー)と宇宙論(コスモロジ―)のイメージ

世界の四方位、月・雄牛のシンボリズム
蛇のシンボリズム
始原の卵

第7章 水の女王━<鳥女神>と<蛇女神>

雨乞い、熊、の鳥女神の表意文字(イデオグラム)ー雨水のシンボリズム
雷文(メアンダー)━宇宙水のシンボル
<鳥女神>の起源と新石器時代の<鳥女神>像
金石過渡時代の<鳥の貴婦人>・<蛇の貴婦人>
乳母としての<蛇女神>と<鳥女神>
ミノア=クレタと古代ギリシアの<鳥女神>と<蛇女神>

第8章 生と死と再生の女神

腕を折り曲げる両性具有の豊富な女神━新石器時代
腕を折り曲げる硬直した女神━金石過渡時代
女神の身体に宿る呪術的な生の根源━口・手・卵
女神の顕現(エピファニー)
1・犬━<月の女神>の分身
2.牝鹿━<再生の女神>の分身
3.ヒキガエルとカメ━<胎児の姿をした女神>
4.ハリネズミ━動物の子宮や胎児に変容する女神
5.蜜蜂と蝶━牡牛から生まれた女神の変容と再生
6.熊━母と乳母としての女神
<死と再生の女神>の諸相
ヘカテーとアルテミス━古代ギリシアにと西アナトリアに生き残った古ヨーロッパの<死と再生の女神>

第9章 多産女神と植物女神

種子としての点文と耕地としての菱形
玉座の<多産女神>
豚━<植物女神>の聖なる動物
ギリシア神話の隠喩━デーメーテール、コレー、ぺルセポネー

第10章 イヤー・ゴッド━蘇生を促す男神

男根像
卑猥な仮面男
人面を被った牡牛
ディオ二ソスの隠喩
悲しみにくれる神
神の子

結論 古ヨーロッパ文明の遺産

発掘地点と14C年代 挿図・写真カタログ
参考文献
解題:マリヤ・ギンブタスと東欧考古学━古ヨーロッパの女神と母の概念
比較図像「<古中国>文化図像」
Gimbutas, Marija, The Goddesses and Gods of Old Europe: 6500–3500 B.C., University of California Press, 1982

Kathleen Jenks, "Old europe" (古ヨーロッパ): 関連リンク
https://www.mythinglinks.org/euro~west~oldeurope.html
An Annotated & Illustrated Collection of Worldwide Links to Mythologies, Fairy Tales & Folklore, Sacred Arts & Sacred Traditions by Kathleen Jenks, Ph.D.
GEOGRAPHICAL REGIONS: EUROPE

■松岡正剛さんの紹介ページ(千夜千冊)では、第五百五十五夜【0555】2002年06月10日
■Barbaroi!のページ反・ギリシア神話 失われた女神たちの復権

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