古代の神々と女神


『古ヨーロッパの神々(と女神)』
The Goddesses and Gods of Old Europe
(1974:邦訳「古ヨーロッパの神々」鶴岡 真弓訳)

第7章 水の女王ー<鳥女神>と<蛇女神>

雨水のシンボリズム

雨乞い、熊、鳥女神の表意文字(イデオグラム)(p111)
平行線、V字文、ジグザグの帯、平行線の束といった文様
徹底して表れる。
一貫した象徴表現のシステムが存在したことをほのめかしている

「とすれば、<降雨>の表現や神話的な<熊>や<鳥女神>との間に、何らかの相関関係を見出すことも不可能ではないだろう」この辺りの図は、興味深いのだが、なかなかすすみません。一つ一つ丹念に見ていくべきですが、基盤がないのがつらいところですが(~_~;)・

図66 鳥女神の顔と流水の表現。後期ククテニ文化の壺。
西ウクライナ、トマシェフカおよびスタラヤ・ブダ遺跡出土。前4千年期前半

図67 鳥女神もしくは蛇女神 の眼と流水の表現。後期ククテニ文化。
西ウクライナ、スタラジャ・ブダ遺跡出土


 p112  

図68 鳥女神の眼、嘴、宇宙卵の表現。後期ククテニ文化の壺。
西ウクライナ、シピンツィ出土 。前4千年紀初頭。

図69 鳥女神の眼と直線的文様(降雨?)の表現。基台付き祭器。中央バルカン新石器時代、マケドニア 、アンザⅢ。前5500年ごろ。

図70 眼と蛇もしくは降雨の表現。テッサリア、ツァングリ出土。新石器時代後期、前6千年紀中葉


 p112

ほとんどの印章に直線や波状線やジグザグが刻まれている


縦のジグザグ文様

夏休みを置きまして、再開します♪
こんなサイトを発見しましたが、一番古い女神はがこちらでしょうか。
古代メソポタミアのニンツ(ニンフルサグNinhurzag) (英語ALL ABOUTのクラシック/古代史) 「偉大なシュメールの女神、すべての神の母、アヌの妻、彼女は粘土から人間を作った。4シュメール作成神々の一。Nintuは出産(出生の貴婦人)の女神。」
(例のイシュタルはアヌの娘とも配偶者ともされる)
いやアヌはアンシャルの息子で、アンシャルはティアマトの息子なので(Anshar - 'whole sky' He is the father of Anu and the child of Tiamat and Apsu.)
そちらでのの最古の女神は Tiamatでしょうか・・ "The Epic of Creation (Enuma Elish): Tablets I-III" She is primeval Chaos, bearer of the skies (Anshar) and the earth (Kishar) and the mother of Lahmu, and Lahamu.
Tiamat, the ancient Babylonian first mother to the pantheon of gods and goddesses.
Babyloniaは紀元前3千年紀ですね・・ここ(ギンブタスの取り上げている時代)は紀元前6千年紀ですので、うむ。うむ・・
古さを確認したところで続きます・・
p113

図71 おそらく雨を象徴すつ装飾的モティーフ。赤地に黒色で絵つけ。後期スタルチェヴォ文化。ユーロスラヴィア北部。前5500年頃。 

図72 粘土製印章。ジグザグと平行線の線刻。スタルチェヴォ及びカラノヴォ文化。

図73 動物型の壺。斜線(流れ落ちる雨?)の表現。初期ヴィンチャ文化。ルーマニア西部、ティミショアラ地方、パルチャ出土。前5000年頃。 

図74 半人半獣の顔をかたどった土器の壺。尖った鼻、押しつぶされた口(水源?)、文様の線刻。ニシュ近郊、マルチャ出土。初期ヴィンチャ文化。前6千年紀後期。


この図74の正面は、稲荷神社のキツネサマみたいな(笑)// は大雨の降る様子を表現したものと考えてよいだろう  

写真78,79
ヴィンチャ遺跡から発掘されたいわゆる「猫頭」の壺。
長い間考古学者を悩ませてきた。
先史時代のヨーロッパでは猫が知られていなかった以上、それが猫を描写した土器でないことは確かである。
旧石器時代から新石器時代を通じて蓄積されたすべてのシンボルを調べさえすれば解くことができる。
半円形をした大きな目と耳、鳥の嘴、嘴の上にV字文もしくは鋸歯文が刻まれ、 さらに口がない代わりに嘴の下に丸い窪みがままつけられ、 まさにこの窪みこそが多くの鳥の仮面に見られる「四方に流れる水」の流出する源と考えることができる 。

p115

図75・76 逆V字文と十字・・3本線、鋸歯文のあるトルソ・・ マケドニア、シタグロイⅢ。前4千年紀。 

図77 鳥女神の頭部。尖った嘴と菱型の眼。マケドニア・バイル出土。初期ヴィンチャ文化。前5300~5100年頃

図78 鳥頭の頭。たすきと鋸歯文で構成された表意文字の線刻。ヴィンチャ遺跡出土。前5000年頃。 

図79 双頭の台(スタンド)。たすきと鋸歯文の線刻。ユーゴスラビア南東部。ツルノカラチカ・バラ。前6千年紀後期。

図80 テラコッタの印章。<鳥女神>の表意文字(たすきと鋸歯文)。ユーゴスラヴィア南部、プリシュテイナ近郊、プレディオニツァ。初期ヴィンチャ文化。前6千年紀 

図81 <鳥女神>の象徴があらわされた蓋。ルーマニア西部、パルツァ。前6千年紀末。


p116~P121

写真77~94


雷文・・宇宙水のシンボリズム

p122

図82 <鳥女神>の仮面。テラコッタ。タイ文と平行線による装飾。ユーゴスラビア北東部、ポトポラニュ。古典ヴィンチャ文化。前5千年紀。 

図83 初期ヴィンチャ文化の小像。トルソ上部。胴体と顔(仮面)に大きな雷文の線刻。ユーゴスラヴィア北東部、ヴルシャツ、ポトポラニュ。

図84 水鳥の小像。雷文、V字文の装飾。首と尾の部分に孔。ヴィンチャ遺跡出土。古典ヴィンチャ文化。 


p123

図85 図式化された小像。雷文と鋸歯文。顔に仮面、頭部にとんがり帽子。トランシルヴァニア、トルダシュ遺跡。初期ヴィンチャ文化。

図86 小像の下部。前面に雷文の刻印。ベオグラード近郊、アギノ・バルド遺跡。ヴィンチャ文化

図87 テラコッタ像の下部。玉座の女神をかたどったもの。玉座の両脇に雷文の線刻。ヴィンチャ遺跡出土。古典ヴィンチャ文化。 


p124~P128

写真95~110


p129

図88 動物をかたどった蓋。(下部は破損)。雷文、鋸歯文、平行線の線刻。ルーマニア中央部、アーイウド。

図89 楕円形粘土板。雷文、鋸歯文、弧の刻印。ベオグラード近郊、バニツァ遺跡。初期ヴィンチャ文化

図90 迷路文様のある粘土板。ピュロス。前1200年ごろ。 

図91 雷文で装飾された神殿模型。ルーマニア南西部、ヴェダストラ。前5千年紀前半。


p130

図92 雷文、人像などの壺の装飾。こげ茶色と白色による着彩で装飾。ルーマニア北東部、トラヤン。古典ククテニ文化。前4000年頃


p130
このような、対称的でリズミカルに反復する雷文(メアンダー)や鋸歯文は既にマドレーヌ期の骨や象牙の動産品に現れている
無限の終わりなき結合を繰り返す雷文さえすでに旧石器時代の彫刻や装身具に現れている

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