古代の神々と女神


『古ヨーロッパの神々(と女神)』
The Goddesses and Gods of Old Europe
(1974:邦訳「古ヨーロッパの神々」鶴岡 真弓訳)

第6章 宇宙生成論と宇宙論のイメージ

蛇のシンボリズム

<蛇>と蛇の形姿を抽象化したと思われる<渦巻>は古ヨーロッパ芸術の支配的なモチーフである。(p92)
渦巻は新石器・金石過渡時代を通じて、古ヨーロッパの豊かな想像力によって一貫して表現され、古ヨーロッパ文明の唯一の継承者であるミノア文明が出現するまで、 他の装飾形式の追従を許さぬほど重要な造形であり続けた。
この辺りの文様の考察詳細、興味深い。

図50 古典ククテニ文化の壺に描かれた蛇と円のモチーフ
ルーマニア北東部、モルダヴィア、ハバシェシュティ出土。

p93

なぜこれほどまでに蛇に関心が寄せられたのだろうか。
蛇ン神秘的ダイナ水実や、卓越した活力、周期的に若返る成体といった俗生は、新石器時代の農耕民に圧倒的な感動を呼び起こしたに違いない。その結果蛇という動物は全宇宙を動かしうる力を持つものとして神話化された。
たとえ場向けあるべ日の一対が再起の方の部分に表されることがある。
蛇が自らの身体を渦巻とする力を以って「世界を回転させている」ことを意味したのではないだろうか。

蛇の形態は新石器・金石過渡時代を通じて図式化されたが、そこにはいくつかの段階があった。比較的、自然主義的な表現の場合は、蛇の頭部と胴体と尾がはっきり見分けられる。

しばしば円盤のような形と蛇で構成された帯状文様が、壺の真ん中を横切るようにあらわされる・・


蛇の象徴についてはもう長いことこちらで見ていますが、この表現(自らの身体を渦巻とする力を以って「世界を回転させている」)は良いと思う。
また、下の犬には驚きました。
しかし。ルロワ・グーランの「身ぶりと言葉」の原牧畜の考察(p265)にも、「牧畜が始まった頃に現れる家畜としての犬は、もちろん大変重要な役割を果たしていた。マグダレニアン期にはまだ現れていない犬の起源については、何一つ知られていないが」とあり。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~t_tajima/nenpyo-1/se-1-cro.htm
マグダレニアン期-旧石器時代後期ーマドレーヌ文化―クロマニョン人、アルタミラ、ラスコー壁画
Wikipedia洞窟壁画,(en.wikipedia.org/wiki/Cave_painting)
※dog// Wikipedia 、確実には紀元前700年頃、ハイイロオオカミの家畜化・・人間と一緒にも葬られた犬12000年前


図51 後期ククテニ文化の壺に描かれた蛇=渦巻文様、雨雲、飛び跳ねる犬、植物モチーフ
西ウクライナ、シピンツィ出土。前5千年紀中葉頃。


p94

マケドニアのポロディンにある新石器時代の遺跡からは粘土製の蛇が多数発見されている。もともとは水を入れるために祭器についていたものらしい・

神話上の水蛇や水鳥は、水中から湧き出る活力の隠喩である。古ヨーロッパの象徴体系においてこの2つの像(イメージ)は密接に関連しあっていた。
人間の姿を借りた蛇として現れる<蛇女神>像が新石器時代初期から古代ギリシアに到るまで一貫して現れている


始原の卵

漁撈・狩猟社会の人類学的な考察は、水、水鳥、卵、牝鹿、女性などを巡る宇宙論的な概念が旧石器時代に出来上がったことを間接的に明らかにしてくれる。(p100)
新石器時代の人々は水を宇宙の本源的要素とみなしていた

図53 古典ククテニ文化の壺。降雨の文様を覆う蛇の抽象的デザイン
西ウクライナ、南ブ―ク川流域、ウラジミロフカ出土。前5千年紀末(p100)

しばしば円盤のような形と蛇で構成された帯状文様が、壺の真ん中を横切るようにあらわされる・・


写真65
蛇女神のテラコッタ小像 新石器時代のクレタ島、カト・イエラぺトラ出土。蛇のような足
あぐらをかいた姿勢。三角形の頭部、つき出た鼻、高さ14.5センチ イラクリオン ギアマラキス博士コレクション

カト・イエラぺトラ? ギアマラキス博士?・・相変わらず地名・人名が不可解・・(~_~;)

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地名検索

モルダヴィア(Moldavia)ルーマニア北東部 Wikipedia


星マークの付いた牛の国旗

バルカン半島の共和国
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 (Former Yugoslav Republic of Macedonia)
クレタ島
http://hp1.cyberstation.ne.jp/legend-ej/c-greece-minoan-civil.html

ウクライナ(Ukraine) Wikipedia


Lesser Coat of Arms of Ukraine

ウクライナエッグhttp://drab.at.webry.info/201110/article_3.html

蛇と円検索

「蛇ノ目と渦巻」 http://homepage3.nifty.com/bokujin/spiral.htmより以下引用

「渦巻および螺旋模様に関する研究の整理という意味では、海野弘の「装飾空間論」(美術出版社 1973年刊)、渡部真臣の「螺旋空間の図像学」(「萌春」264日本美術新報社)などがある。
渦巻に関する研究の中で、特に注目すべきものは、ケレーニイの「迷宮と神話」であろう。」


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