(p8)写真1 鳥女神頭部
ギリシア、テッサリア、アキレイオン出土
前6千年紀 高さ6.1センチ
鳥のような嘴、人間のように真ん中で分けた髪が特徴的
ギンブタスによる発掘(1973年)
1956年、南ロシアなどに見られるクルガン(墳丘墓)を原インド・ヨーロッパ語民族と結び付けるクルガン仮説を提唱し、1965年に「Bronze Age Cultures of Central and Eastern Europe」としてまとめた。
「クルガン考古学」と言語学を結びつけて、原インド・ヨーロッパ語を話す人々の起源に位置付けて提唱した。
ギンブタスは、明確な墳丘「クルガン」を伴う墳墓を持った「文化」を仮に「クルガン文化」と呼び、クルガン型の墳丘墓がヨーロッパへ伝播していったことをつきとめた。
紀元前2500年前後では、西方ではバルカン半島に住み着くことになる原ギリシャ人の球状アンフォラを伴う文化となり、東方では、インド・イラン系の遊牧民文化を形成した
クルガン仮説のシナリオは、インド・ヨーロッパ語族の起源についての尤もな答えとして広く受け入れられてきたが、あくまでも推論の域を出ていない。
■球状アンフォーラ文化・・ ギリシャに侵入した原ミケーネ人も担い手であった可能性がある。 (※→)Sarmatian Kurgan 4th c. BC, Fillipovka, S.Urals Archeological dig lead by Russian Academy of Sciences Institute of Anthropology Prof. L.Yablonsky, Summer of 2006. First known kurgan
南東ヨーロッパにおけの新石器=金石過渡時代におけるさまざまな文化集団に共通する特質とそこに形成された事物を把握するため、ここに<古ヨーロッパ>という新しい名称を提示したい。
前5千年紀のヨーロッパ社会は文化的な勢いを増大させたが、その文化も前4千年紀にヨーロッパ中・東部の各地へ侵入し定住した半農半牧を営むインド=ヨーロッパ語族の祖先によって分断される。
その結果<古ヨーロッパ文明>の最初期に生み出された色鮮やかな土器や彫刻米術は急速に消滅した。しかし、その遺産は前3千年期末のエーゲ海沿岸地帯と島嶼地方に、次いで前2千年紀中葉のクレタ島に受け継がれ生き延びていく。
ギリシアの初期青銅器文化、キュクラデス文明、そして宮殿美術の宝庫であるクレタのミノア文明に、新石器・金石過渡時代の<古ヨーロッパ>文化が縮図化されているということができる
地図1(p14より)
p22 前6千年紀末から5千年紀にかけて、バルカン地方に生まれた芸術の伝統は、 ヨーロッパや中東の先史文化の中で最もみごとで特徴的なものの一つである。
p23 サラエヴォのブトミール集落址
1967-68発掘のオ―ブレ文化Ⅱ期の遺跡
放射性炭素による一連の測定年代により、ブトミール文化は前5100~4000年頃にかけて3つの時期に分かれることがはっきりした