ネコ科動物というシンボルほど、長期にわたって許容され、広く受け入れられているシンボルはない。
ヒトという種が進化した当初から、ネコ類は人間の想像力に深甚な影響を及ぼしてきた。
大型ネコ類は、感嘆の念と恐怖心を呼び起こし、 太古の文明から現代に至るまで変わることなく、その宗教心、イデオロギー、芸術の伝統にしっかりと組みこまれてきた。
小型ネコ類にしても、野生のものにしろ、時代が下って家畜化されたものにしろ、ネコ科動物の霊魂が体現されたミニチュアとして、われわれの感情や迷信の中に座を占めてきた。
全てのネコ類が、何らかの意味で儀式や宗教的行為の中心に据えられている。
もっとも初めの引用(p5)
ネコ科動物のイメージは、人間の想像力に対するその影響力を保持し続けてきた。
ライオン、トラ、ヒョウ、ジャガー、そしてイエネコ
力とスピード、忍びやかさと迷彩色と「知能」
現存ずる40種類余りのネコ類の大半は、ここ200万年ほどにわたって生息してきた
氷河時代(更新世)・・人間の手ごわい競合者
ヨーロッパ:ライオン(Felis leo)とヒョウ(Panthera pardus)
、中国:トラ(Panthera tigris)
、アメリカ:ジャガーの住処
巨大な捕食獣はマンモス、ゾウ、オオナマケモノ・・これらの獲物が1万年ほど前に姿を消す
南北アメリカには、氷河時代以降ライオンも虎も豹も生息していない
それに代わる大型ネコ類は
ピューマ(Felis concolour)、それより大きい ジャガー(Panthera onca)
ジャガーの祖先はおよそ50万年前までユーラシアに生息
ジャガーはアメリカ大陸に出現したのは200万年前
家ネコが登場したのは紀元前1500年ころ
ほとんどの専門家は、リビアネコ(Felis silvertris libica)か、
それより大型のジャングルキャット(Felis chaus)とリビアネコの雑種に由来していると考えている
卓越したハンターが備えている死の臭いと美しさ
150万年前の人類骨化石・・アウストラロピテクスは狩猟される側だったかもしれない
3万8千年前・・人間とネコ科動物を合体させた架空の動物像
ライオンの絵は草食動物とは分けられ洞窟の奥でみつかるのが普通
ラスコーの洞窟の『「ネコ科の部屋」
3万2千年前の石器時代ライオンの頭部をもつ人間像・・マンモスの象牙彫刻
農業や科学が存在せず、霊魂の活動と妖術の威力が現実のものとみなされていた世界
ネコ類のオーラ
半人半獣・・シャーマンが変身したもの
狩人や戦士やシャーマンとの同一視・・連想による威信を獲得
ネコ科動物の相貌や行動を観察しまねる
東アフリカのマサイ族の戦士・・ライオンのたてがみを身につける、
サラワクのダヤク族・・ウンピョウの毛皮の皮をまとって戦いに赴く
シャーマン・・動物の支配者(マスター)(支配者になりきる)
アマゾンのシャーマンは麻薬の影響かでは「ジャガーの眼」で世界を見ていた
(コロンビア大の人類学やジェラルド・レイチェル=ドルマトフReichel-Dolmatoffの研究)
世界中の狩猟社会の狩人、戦士、シャーマンは自分たちと大型ネコ類とを結び付けてきた
自己同一視→王族の象徴性と庇護の力に浸透
ソロモン王の玉座はライオンに支えられていた。
古代エジプトでは新しいファラオの戴冠式では支配者が「ライオンの玉座」についた
スフィンクスが王権の擬人化だった
ライオンの胴体とファラオの頭部・・神聖な座の尊厳を冒す人間を襲う『万人』
先史時代のメソポタミア・原始時代からライオンが王の地位と同一視されていた
ブロンズ製のライオン像の足の間から初期の王の名が刻まれた石板が見つかっている
バビロンのネブカドネザル王の玉座には雄ライオンの装飾
シュメールの『ギルガメシュ叙事詩』・・ライオンを抱える、踏みつける、戦う、メソポタミアの王権の創始者。
ネコ類の神秘性は今も昔と変わらす強力
The cult of the Cat
ネコとライオンについて
以下続く