自由の女神(リバティー島)
https://www.nps.gov/stli/
落成したのはアメリカ独立の承認100年目にあたる1886年
対概念 権力 と 自由
台座に「G」の書かれたコンパスと定規―すなわちフリーメーソンの紋章((wikipedia)フリーメイソンリーのシンボルマークの一つ。
定規とコンパスは石工職人のギルドだったことの名残。
上向き三角形(コンパス)と下向き三角形(直角定規)の結合はダビデの星を形成し、男と女、陽と陰、天と地、精神と物質など世界の二元性の融和を表現している。
中央の「G」は至高存在を意味し、神(GOD)、幾何学(geometry)、栄光(Glory)、寛容(Grandeur)、黄金(Gold)、グノーシス(Gnosis)の意味も込められている。
フリーメイソンにおいて個々の建築道具は人間の美徳と対応し、直角定規は道徳、コンパスは真理、こては結束と友愛、槌は知識や知恵を象徴している。
図説世界ンシンボル事典 by ハンス・ビーダーマン
宇宙論的な意味での完全な円を描くための道具
「自由7学科」の擬人像や建築や地理学の擬人像はコンパスをアトリビュートとする
フリーメーソンのシンボルとしては、全てを包み込む人間愛という理念を体現する
コンパスの先端の一つは志願者の心に固定され、もう一つの先端は兄弟たちと結びつける 開いている角度も問題 (直角の時は精神と肉体のバランスが保たれている)直角定規と重ねられるときどちらが上になるかということも重要であった。(コンパスが上の時は精神が物質を見事に抑え込んでいる)
翻訳語としての「自由」 中村正直 J・ミル{On Liberty]の訳
(旧来の意味は「わがまま放題」)
自由の概念は個人意識の確立した西欧近代で問題とされた
:ブルジョアジーの支配画秩序を自発的に構成する公民としての自由と、個人生活を私的に享受するための自由とは分裂
非西洋社会においては、人間の自由が圧殺されたのは植民地支配のためであるとされ、自由の回復のためにも国家の統一と独立とを目指すナショナリズムが強調される: その結果個人意識の成長は妨げられ、しかも強権的・独裁的統合が強行されることになる
これまた、なるほど面白い。ところで下に唐草図鑑の美術用語解説を再掲しておく。(#)
チェーザレ・リーパ [イコノロジア]
「自由(Liberta)」について、リーパは「白衣の女性で、右手に王笏、左手に帽子を持つ。傍らの地面には猫がいる。・・・猫は自由を最も愛するがゆえに、古来、この動物と同じく隷属に甘んじない人々によって紋章に取り入れられた」と述べる。(p44)
『西洋美術のことば案内』(高橋 裕子)
だがニューヨークの≪自由の女神≫(オーグストバルトルディ作、1875~84年)の足もとに猫はおらず、右手にたいまつ、左手に石板を持つところもリーパの記述とは異なっている。
19世紀には伝統的な型は忘れられていたのかもしれず、ドラクロワの≪民衆を導く自由の女神≫(1830年、ルーブル美術館)でも、「自由」は題名がなければそれとはわからない。(高橋)
2018‐06@Paris photo byM