義憤の女神(ネメシス)

ネメシスというと一般イメージは「血塗られた」「復讐の女神」だと思う・・怖そう・・
しかし、「She is implacable justice」(wikipedia(英語版)20190902閲覧)=「容赦ない正義」の女神であっても、「復讐」の女神ではないという。
もっとも、ギリシア語でnemesisは「復讐」:を意味し、不正の糾弾を擬人化したギリシア神話の女神と、『世界シンボル事典』にはある。

Getty Villa - Collection (5305254138)
日本版wikipedia:(20190903閲覧)

ネメシス
(ネメシス(古希: Νέμεσις, Nemesis)は、ギリシア神話に登場する女神である。
人間が神に働く無礼(ヒュブリス)に対する、神の憤りと罰の擬人化である。
ネメシスの語は元来は「義憤」の意であるが、ネメシスの語は元来は「義憤」の意であるが、よく「復讐」と間違えられる(訳しにくい語である)

義憤の女神

「図説世界シンボル事典」 byハンス・ビーダーマン


不正の糾弾を擬人化したギリシア神話の女神


同時に、悪事に懲罰を加える者、競技の公正な審判者でもある。
通常は、天秤、剣、物差しを持った姿で描かれ、有翼のこともある。
またネメシスは、過分な幸運を味わったものに再び身の程を知らしめる運命の役割を果たす女神である。

世界大百科事典 第2版の解説 ネメシス【Nemesis】
ギリシア神話で,人間の分をわきまえぬ思い上がった言動(ヒュブリス)に対する神の怒りと罰を擬人化した女神

その名は〈配分者〉の意。彼女の最も有名な神殿はアッティカ地方のラムヌスにあり,名匠フェイディアス(前5世紀)作の神像が奉置されていた。
この神像は,鹿と勝利の女神ニケのついた冠をいただき,左手にはリンゴの枝,右手にはエチオピア人の姿を刻んだ杯を持っていた,とパウサニアス(2世紀)の《ギリシア案内記》が伝えている。

神に対する人間の倨傲(ヒュブリスを罰する、というのが一番に来るようだ。

(コトバンク)
ギリシャ神話で、人間に幸・不幸を配分する女神。
度をこえた繁栄、高慢などに天罰を下したという。

ギリシア神話で,人間の倨傲(きょごう)(ヒュブリスに対する神々の怒りと罰を擬人化した女神。
アッティカ地方ラムヌスの神殿には,大彫刻家フェイディアス作のネメシス像があったと伝える。

自慢話を嫌う神

「神話・伝承事典」 byバーバラ・ウォーカー

 「守られるべき法令」を意味し、ディケー、あるいはテュケー(「運命」)とも呼ばれる「時の女神」
 オウィディウス〔紀元前43-後17? ローマの詩人〕はネメシスを、「自慢話をひどく嫌った女神」と呼んだ。王や英雄がいかに傲慢になろうとも、最後には彼らはみな、女神によって破滅させられたからである。
 ストア学派は、時がくればすべてをその構成要素に還元してしまう自然の世界支配原則として、女神を崇拝した。

奢れるものも久しからず、奢らぬものも久しからず(小林秀雄にあったセリフ)ですね、時の女神とするというのはわかる・・時の女神や正義の女神に関係する女神のようだが、フェィデアスの画像も見当たない・・・

女神はときに「逃れられないもの(アドラステイア)」と添え名された。pl.wikipedia.org/Adrastea_(mitologia)

Alfred Rethel 002

Alfred Rethel (1816–1859) Nemesis 1837
Medium oil on canvas Dimensions Height: 95 cm; Width: 48 cm
Hermitage Museum

ホメロスの『イーリアス』だが、「怒りを 歌ってください 女神(ムーサ)よ」と始める。

ギリシア神話は、物語としては、
ダン・シモンズの、ホメロス学者が主役のSFIlium (2003)(『イリウム』) で、作者が言うように、騒々しく好戦的で好色な神々で・・主人公が、「えぇい、知ったことか」といいいたくなるのもわかる(^-^;

久しぶりのギリシア神話とのお付き合いだが、
ところで、5,770人の女神、神、英雄が全系図に記録される、Mythologische Genealogie, Dieter Mace
をみて、すごいサイトいや、系図を作ったものだと・・
その系図はダウンロードもできる由・・

ギリシア神話の女神も、ここまでのメンバー(?)ととするが、全体として、「正義」が大事だということが見えた‥ と考える。

正義の女神|



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