3は聖なる数字で、3相を持つ神々と関連する、と「イメージ・シンボル事典」にあるが、ギリシア神話では特に、3つ組みの女神が目につく。
今回、ホライ(季節の3女神)のシンボルを見ていて、なぜ3人組なのか、非常に納得できた。
「図説世界シンボル事典」 byハンス・ビーダーマン
ギリシア神話に登場し、季節と秩序を司る女神たち。
「ホライhorai(単数形hora)」は文字どりには時間を意味するが、
3人の女神たちは、
古代ギリシア特有の季節区分(1年を3つに分ける)に基づく
春、夏、冬の3季節を擬人化した存在で、
タロ、アウクソ、カルポの名をもっていた。
しかし、ゼウスとテミスとの間に生まれたとされるこれらの女神は、
「一定の期間」(ホラ) の擬人像とされる一方で、
時の秩序や法的秩序に関わる抽象的観念と結びつくこともあり、
この場合には各々に、
エイレネ(平和)、ディケ(正義)、エウノミア(平和)の名が与えられた。
なぜ正義の女神がここに含まれるのかということがかなり納得できた。
ま、学問というか考える方法、というのは、まずもって、分けて考えること、分析であるが。下記の、ド・フリースの言うこともわかる・・・
バラバラになり、枝葉末節の物語がつけ加わっていく面がある・・
太古のGreat Goddes(太女神)
太女神の3分裂は個別化であり、多様性の退化である。(『イメージ・シンボル事典』ド・フリースp296)
(コトバンク)
ギリシア神話で,秩序と季節をつかさどる3人または4人の女神。単数形ホーラ。ゼウスとテミスの娘。植物の生長,開花,結実を管掌する。
(Wikipedia)ギリシア神話に登場する時間の女神で、季節と秩序を司る。
なお、ホーラは単数形で、複数形ではホーラという。いずれも時間の意味。
また、季節女神とも意訳される。
季節の秩序を司ることから、植物や花の生長を守護する女神とされ、また人間社会の秩序や平和をも司る。天界と地上を結ぶ雲の門の番人でもある。
それゆえ彼女達は、花を手にした優
美な乙女の姿で表される。
ヘーラーあるいはアプロディーテーの侍女。ヘーラーを養育したのは彼女たちであった
古代のギリシア人は一年を春分から秋分に至る半年と残余の秋冬の半年に分ち、アテーナイで二つの季節のホーライ(タローとカルポー)を置いたが、後には春夏秋の三季節に分ち
主に自然と季節を司り、植物の芽生え、生長、結実の3階段を象徴する。春夏秋の三季節と結びついている。
アッティカ地方では
春・タロ、芽生えの女神
夏・アウクソ、成長の女神
冬または秋・カルポ、収穫の女神
エウノミア(春の女神で秩序を表す)
ディケ(夏の女神で正義を表す)
エイレネ(冬の女神で平和を表す)
1 エウノミアー 秩序の女神とされる。
2 ディケー 正義の女神とされる。
人類を見守り、人類が不正を働いた時にはこれをゼウスに訴えるという。
後世の神話の女神アストライアーやローマ神話のユースティティアと同一視される。
3 エイレーネー 平和を司り、ローマ神話のパークスと同一視される。
3という数についてもう少し見たい。キリスト教になると、三位一体だが、古典古代の3は・・
聖なる数字で、3相を持つ神々と関連する。
a.エジプトでは、太陽の3相を表す神は、ホルス(朝)、ラ―(昼)、アトゥム(夜)
また、太女神イシスは、妹-花嫁、母、寡婦(埋葬準備者)の3つに分割された。
b.ギリシア・ローマでは三叉の稲妻を持つゼウスの司る天界、
三叉の鉾を持つポセイドンの司る海、 三つの頭を持つ犬を率いるハデスの司る冥界である。
また、モイラ(宿命)、
復讐の女神達、
美の女神達(豊穣)、ハルピュイア、セイレンなどはそれぞれ3つ組であった。
3つ組の女神、または3面の女神はとりわけ古代ギリシア・ローマのイメージ世界に頻繁に登場する。
こした女性像は、ほかならぬ女性の領域から力強い存在が出現して欲しいという気持ちを「表現したものであり、男性神の3つ組より顕著に表れているように思える。
カリステ(美の3女神)、ホライ(季節の3女神)、モイライ(バルカイ、宿命の3女神)、ゴルゴン、グライアイ、そしてエリニュエス(復讐の3女神)あるいはエウメニデス(善意の3女神)などはそうした例であり、また9人の女神からなるムーサは、3つ組を3つ集めたものと理解できる。
夜と呪法の女神ヘカテは、時代を下るとしばしば3面神としてイメージされるようになったが(※)、これは明確な典拠に基づくものではない。
北欧神話の運命を紡ぐ3女神ノルエルは、ギリシア・ローマの3つ組の女神のイメージの影響によるかもしれない
ヒンドゥー教のトリムルーティ(三神一体説)は、ブラフマー、シヴァ、ヴィシュヌの3神を一体とみなす考えはは3つ組の一種と考えることができる。ただしこの理念は神学者たちがシヴァ神を崇拝する一派とヴィシュヌ神を崇拝する一派との断絶の橋渡しを試みたことに端を発する。
大乗仏教には、より抽象的な3つ組のイメージとして、ブッダの身体を3様に捉える三身説がある。
仏教では、仏(教えの主)、法(教えの内容)、僧(教えを修行するもの)を、
ジャイナ教では、「正しい行動、正しい信仰、正しい認識」を「三宝」とする
錬金術のシンボルとしては、3つ組の図像は、世界を構成する コルプス(肉体)、アニマ(精神)、スピリトゥス(霊)として、 あるいは塩(えん)、硫黄、水銀の3原質を表す
※三面神について、ヘカテが挙げられている→hekate.html
トリプルフェイス
エウノミア 、エウメニデス(善意の3女神、とあるが)関は係?→途中物件
(Wikipedia)
ホーライ: ホーラの三女神
エウノミアー(秩序)、ディケー(正義)、エイレーネー(平和)の三女神